ソフトバンクの「SoftBank Free Style」に続き、KDDIが「au Flex Style」を開始するなど、携帯電話会社がSIMフリースマートフォンを販売する動きが強まっています。自社でスマートフォンを直接取り扱っている携帯電話会社が、なぜいまSIMフリー端末の販売に力を入れているのでしょうか?

KDDIもSIMフリースマホ専用ブランドを開始

円安やインフレなどによるスマートフォンの販売低迷をよそに、2026年は年初から、スマートフォンメーカーによる新機種の投入ラッシュが続いています。4月には、米グーグルが国内で人気の高い「Pixel」シリーズの普及モデル新機種「Pixel 10a」を発表し、注目されたかと思います。

ですが、それ以外にも多くのスマートフォンメーカーが新機種投入を打ち出しています。英ナッシング・テクノロジー(Nothing Technology)は普及クラスの新機種「Nothing Phone (4a)」と、その上位モデル「Nothing Phone (4a) Pro」を発表。このうち後者の「Pro」が付くモデルは国内初投入となります。

  • ナッシング・テクノロジーは「Nothing Phone (4a)」と「Nothing Phone (4a) Pro」の2機種を発表。後者の上位モデルは日本初投入となる

    ナッシング・テクノロジーは「Nothing Phone (4a)」と「Nothing Phone (4a) Pro」の2機種を発表。後者の上位モデルは日本初投入となる

中国オッポも、横折りタイプの折りたたみスマートフォン「OPPO Find N6」を発表しています。その価格は30万円を超えるなど非常に高額ですが、折りたたみスマートフォンの弱点でもある折り目部分の“しわ”を大幅に減らし、なおかつ別売のペンによる操作にも対応するなど、非常に充実した内容となっています。

  • オッポは、国内初投入となる折りたたみスマートフォン「OPPO Find N6」を発表。折り目のしわを大幅に減らすとともに、ペン操作にも対応し、大画面のメリットを生かしやすくなった

    オッポは、国内初投入となる折りたたみスマートフォン「OPPO Find N6」を発表。折り目のしわを大幅に減らすとともに、ペン操作にも対応し、大画面のメリットを生かしやすくなった

そして、これら両社の新機種には1つ共通点があり、それはKDDIの「au Flex Style」ブランドでの販売がなされること。KDDIは、2026年4月15日にau Flex Styleの立ち上げを発表しており、その第1弾として取り扱いを発表したのが「Nothing Phone (4a)」と「OPPO Find N6」の限定BOXなのです。

  • KDDIが新たに開始したブランド「au Flex Style」。「au Online Shop」などでSIMフリースマートフォンを販売している

    KDDIが新たに開始したブランド「au Flex Style」。「au Online Shop」などでSIMフリースマートフォンを販売している

そもそもau Flex Styleとは、家電量販店やECサイトなどのオープン市場で販売されるSIMフリースマートフォンを、KDDIの販路で販売するブランドという位置付け。KDDIはこれまでも、スマートフォン関連のアクセサリーを取り扱う「au +1 collection」でSIMフリースマートフォンを販売してきましたが、そのラインアップを拡充するため、独立したブランドとして展開するに至ったようです。

ですが実は、携帯電話会社がSIMフリースマートフォンを販売するブランドはau Flex Styleだけではありません。ソフトバンクも、2025年11月28日に「SoftBank Free Style」を立ち上げ、中国シャオミの「Xiaomi 15T」「Xiaomi 15T Pro」を皮切りに、執筆時点ではシャオミの「Xiaomi 17 Ultra」やオッポの「OPPO Find X9」など、扱うラインナップの拡大を進めています。

  • ソフトバンクもSIMフリースマートフォンを扱う「SoftBank Free Style」を開始しており、執筆時点ではシャオミやオッポ製のSIMフリースマートフォンを扱っている

    ソフトバンクもSIMフリースマートフォンを扱う「SoftBank Free Style」を開始しており、執筆時点ではシャオミやオッポ製のSIMフリースマートフォンを扱っている

特徴的なスマホは確実な需要はあるが、扱うリスクは高い

ですが、ここで多くの人が疑問を抱くのは、携帯各社は自社でも直接スマートフォンを販売しているのに、なぜSIMフリースマートフォンを扱う別のブランドを立ち上げる必要があるのか?ということでしょう。実際、グーグルのPixelシリーズのほか、米アップルの「iPhone」や韓国サムスン電子の「Galaxy」シリーズなどは、携帯電話会社のメイン・サブブランドで直接販売されています。

それにもかかわらず、SIMフリースマートフォンを販売するブランドを別に用意するのは不思議なように思えるのですが、そこには携帯電話会社のビジネスが非常に大きく影響しています。

携帯各社が直接販売するスマートフォンは、メーカーから供給を受けた携帯電話会社の製品となり、販売やサポートなどあらゆる面で責任を持つのはメーカーではなく携帯電話会社なのです。それだけに、ビジネス上問題となってくるのが在庫で、もしあまり売れないスマートフォンを調達してしまうと、在庫リスクを抱えてしまうのです。

スマートフォンの大幅値引きが可能だった以前であれば、そうした端末を激安価格で販売することで在庫を減らすことができました。ですが、国がスマートフォンの値引きに非常に厳しい規制をかけてしまっている現在では、それも容易にはできません。

それゆえ、携帯各社は可能な限り在庫を抱えないよう、多くの人に購入してもらいやすい人気ブランドのスマートフォン、あるいは多くの人に販売しやすい、普遍的な内容のスマートフォンに絞って端末を調達する傾向が非常に強まっています。とりわけ、昨今の円安などによってインフレが強まっている昨今は、携帯各社がリスクを回避するため一層その傾向が強まっている様子です。

  • 携帯各社はブランド力があって価格が手ごろなスマートフォンの販売に注力しており、それら条件を満たすグーグルの新機種「Pixel 10a」などは携帯4社全てが取り扱っている

    携帯各社はブランド力があって価格が手ごろなスマートフォンの販売に注力しており、それら条件を満たすグーグルの新機種「Pixel 10a」などは携帯4社全てが取り扱っている

一方で、特徴的な機能・性能を備えていたり、強い個性を持っていたりするスマーフォンは、「必ず欲しい」という人が一定数いるものの、それ以上販売の広がりが見込めません。それゆえ携帯各社にとっては在庫リスクが高く、自社製品として直接販売するのは難しいという判断が働いてしまうわけです。

ですが、その傾向があまりに強まってしまうと、特徴的なスマートフォンを欲する人達のニーズを取りこぼしてしまうのも確か。そこで、携帯各社がビジネス面でのリスクを抑えながらも、特徴的なスマートフォンを扱う手段として生み出されたのが、自社製品としては扱わず、SIMフリー端末の販売だけを担うブランドだったといえるでしょう。

それゆえ、au Flex StyleやSoftBank Free Styleで販売されるスマートフォンは、購入できる店舗が各社のオンラインショップなど一部に限定される、サポートは携帯各社ではなくメーカー側が担うなど、携帯各社が直接扱うスマートフォンとは大きな違いがあります。ただその分、ラインアップの自由度は高く個性的なスマートフォンが多く揃っていますし、分割払いやキャンペーンなど、ユーザーが購入しやすくする施策にも力が入れられています。

メーカー各社にとっても、携帯電話会社が直接扱わないとはいえ、強力な販路からの販売が期待できだけあって、今後多くのSIMフリースマートフォンが携帯各社の販路で販売されるケースは大幅に増えるものと予想されます。それだけに個性的なスマートフォンを欲する人達は、メーカーやECサイトなどだけでなく、携帯各社が販売するSIMフリースマートフォンにも着目しておくべきでしょう。