ソフトバンクは2026年4月17日、AI関連のプロダクト発表会を実施し、米Brain Technologiesが開発した「Natural AI Phone」などを発表しました。
同社のプロダクト本部長である足立泰明氏は、同社がこれまで「毎日が、少しずつ変わり始める」ことをコンセプトとしたAI関連サービスを提供してきたと語ります。ですが、同社の調査によると、生成AIが急速に発展しており、多くの人がその存在を認知しているにもかかわらず、同社の調査では利用していない人が半数を超えているとのことです。
その理由として、始め方が分からないという声が多かったそう。そこで新たなサービスとして、AI技術を活用したさまざまなサービスを、ボタンを押すだけで無料、かつ簡単に体験できる「だれでもAI」の提供を開始すると発表しました。
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新しいサービスの1つとして発表された「だれでもAI」。AIを活用したさまざまなサービスを無料、かつボタンを押すだけで体験でき、気に入ったらそのサービスをお得に利用できる、ソフトバンク独自の特典も用意されているとのこと
人間がさまざまなアプリを切り替えて使うスタイルを変える
そしてもう1つ、新しいプロダクトとして発表がなされたのがNatural AI Phoneであり、ソフトバンクが1年間の独占契約で販売するとのこと。ディスプレイサイズは約6.7インチで、性能的にはチップセットに米クアルコムの「Snapdragon 7s Gen 3」と12GBのRAM、背面に3眼のカメラを備えたミドルクラスのスタンダードなスマートフォンです。大きな特徴となるのが、やはりBrain Technologiesが開発したAIエージェント機能でしょう。
そのBrain Technologiesは、AIと次世代のインターフェースを開発する企業として2015年に設立。同社のCEOであるジェリー・ユー氏は、タッチ操作でインターフェースに革新を与えたスマートフォンの登場からすでにおよそ19年が経過しており、AI技術が急速に発展した現在では、そのインターフェースに課題が生じていると話します。
それは、スマートフォン上で提供されるアプリのすべてが、人が操作することを前提に設計されていること。それゆえ、例えば夕食に出かける場合、レストランを探して予約し、タクシーを配車するといった一連の作業は、人が複数のアプリを切り替えて操作する必要があります。
そこでBrain Technologiesでは、そうしたコンピューターのあり方そのものを見直し、AIの中にアプリを組み込むという逆転の発想で、OSの深い部分からインターフェースの設計をし直したと、ユー氏は話します。
具体的には、Android OSに独自のAIエージェントを搭載し、ユーザーの言葉に合わせて最適なUIを自動で生成する「Generative interface」と、利用するほどユーザーの好みなどを学習し、次のアクションを先回りして提案する「Understanding」の2つの技術によって、ユーザーに代わってAIが情報の取得やアプリの操作などを担い、結果を提案する仕組みを実現しているとのことです。
それゆえNatural AI Phoneは、もちろん通常のAndroidスマートフォンとして利用できるのですが、側面にあるAIボタンを押すことでAIエージェントの画面に切り替わり、表示している画面の内容を理解して次のアクションを提案してくれます。
また、スケジュールの選択やお店の予約、メッセージの送信などといった、本来ユーザーがアプリを操作してこなすべき作業も、Natural AI Phoneがバックグラウンド、かつ自動でしてくれることから手間がかかりません。
また、利用するほどAIがユーザーの傾向を理解し、より最適な提案をしてくれる仕組みも用意されており、それを司っているのが「記憶データ」というもの。ユーザーの行動からさまざまな情報を記憶し、その記憶に即した指示があった場合、記憶データを活用することでより最適な操作をしてくれるようになります。
そしてもう1つ、特徴的な機能として用意しているのが、旅行の計画や試験など、中長期的な目標の達成をするために必要な情報をひとまとめにしてくれる「フォーカス」というもの。フォーカスの中で必要な情報を自動的に整理し、次のアクションを自動で提案するなど、目標達成のサポートをしてくれるといいます。
プライバシー面に配慮、対応アプリは制約も
ただ現時点で、Natural AI Phoneの操作に対応しているアプリは「Gmail」「YouTube」などグーグル製のアプリや、「Yahoo!ショッピング」などEコマース関連、そして「LINE」「食べログ」などに限られています。足立氏は、今後も対応するアプリを増やしていく予定だとしていますが、金融・決済関連のアプリについては「我々がいじるべきではない」と話し、慎重な姿勢を示していました。
また、ユーザーの情報を活用したAIエージェントを利用するうえで気になるのは、プライバシー対策です。Natural AI Phoneはデバイス上のAIに加え、クラウドのAIも活用しているそうですが、Brain Technologiesではユーザーの情報をAIの学習には活用せず、保存先のクラウドも日本国内に閉じているとのことでした。
足立氏によると、ソフトバンクがBrain Technologiesに出会ったのは、ソフトバンクがシリコンバレーのスタートアップ企業と関係性を構築している部門からの紹介があったことがきっかけとのこと。Brain Technologiesとの話し合いを始めた時点で、Natural AI Phoneはまだ構想段階だったといいますが、AIエージェントに関するコンセプトや方向性が近しいと判断し、今回の取り組みに至ったとのことです。
ただ、AIを活用したデバイスは必ずしもスマートフォンである必要はなく、最近では音声操作を主体としたデバイスも出てきています。ですがユー氏は、人間は二次元の情報を目で見て把握するのが最も分かりやすいことから、視覚に重きを置いたスマートフォンにAIを搭載する方針を取ったと話しています。
それに加えてユー氏は、「人は手で触るのが自然な人間に近い姿、タッチスクリーンを使う形状が人間に近い自然なものではないか」とも話していました。すでに、スマートフォンが人間にとって自然で利用しやすいデバイスとなっていることも、選択の理由となっているようです。
とはいえ、Brain TechnologiesはAIやインターフェースを手がける会社なので、ハードウェアに関する技術は保有していません。それゆえユー氏は、Natural AI Phoneを手がけるにあたり、「世界で有数のデバイスを製造している」パートナーと協力して製造しているとのことでした。
Natural AI Phoneは、最新のAI技術を活用した特徴的なコンセプトを持つ一方、ソフトバンクとしてもチャレンジ要素も強い製品となっています。それだけに、発売後のユーザーの反響が大いに気になるところではないでしょうか。







