なんだかんだで複数ポートを持っている充電器は便利だ。スマホの2台持ち、スマホとモバイルバッテリー、スマホとノートPCなど、たとえ出先であっても複数台のデバイスを充電したいと思うことはよくある。

そんなときに、ひとつの充電アダプタと2本のケーブルがあればことが足りるのなら、携行品がシンプルになって実に便利ではある。ただ、注意してほしいのは、複数ポートを持つアダプタでは、ポートごとの最大出力等の仕様が異なる場合が多いことだ。

  • すべてベルキンのUSB-C充電器。左から65W USB-C PD Wall Charger with PPS、60W USB-C PD Wall Charger with PPS、67W USB-C PD Wall Charger with PPS

2ポート以上の充電器はポートのワット数をチェック

最近は、27W超充電対応の機器が増えてきている。以前のスマホは、18Wまでの充電対応のものが多かったが、昨今は、対応電力が少し大きくなっている。それでも30Wに対応できるポートがあれば、一般的なスマホには十分だし、少し力不足ではあってもPCの充電もなんとかなることが多い。原則として充電アダプタと充電されるデバイスの両方が大きな電力に対応していれば、それだけ高速に充電ができる。

複数のポートがある充電アダプタを使う場合、本体にプリントされた仕様をよく確認しよう。苦労して細かいスペックを解読しなくても、ポートの脇に、異なる電力値がプリントされていることも多い。とにかくそれを確認してほしい。

  • ベルキン充電器の例でいうと、ポートの上下に出力ワット数が書かれている

たとえば、2ポートのトータル出力が65Wで、上のポートが45W、下のポートが20Wといった表示があるとしよう。これは2つのポートの仕様が異なるということだ。片方のポートだけを使う場合はどちらのポートを使っても最大出力65Wが得られるが、2つめのポートを同時に使おうとすると、電力が再配分されてしまう。あるいは最初からポートごとの電力が決められている場合もある。

これで何が不便かというと、ひとつめのポートで65Wが必要なデバイスを充電中に、2つめのポートで別のデバイスの充電がスタートすると、ひとつめのポートの出力が45Wに落ちてしまい、期待した速度で充電ができないということになる。わかっていて使う分にはそれでいいのだが、知らないと不便を感じることになるかもしれない。

ポートごとに最大出力が固定されているものもある

こうした不便を避けるために、各ポートの最大出力が、ポートごとに等しく固定されているものもある。ベルキンのBoostCharge Pro PPS 60WのUSB-C ウォールチャージャー(WCB010dqWH)などがそうだ。こういう仕様のアダプタはわかりやすい。独立した複数のアダプタがひとつのボディにパックしてあるイメージだ。

この製品は合計60Wの能力を最初から半分づつ2つのポートに割り振っている。片方だけを使う場合、両方を使う場合で各ポートで得られる電力に違いがない。これはとてもわかりやすい。

少なくとも、現状のデバイス対応を考えれば30W×2という固定された仕様はスマホ、タブレット、モバイルバッテリーと、デバイスを問わずに便利に使えるし、冒頭に書いたようにPCの充電もなんとかなる。そして、状況が変わろうとも途中で電力の増減がないのだ。

自分に必要な出力を確認して納得のいく買い物をしよう

本当は、合計60Wが使える充電器なら、最初のポートで45Wを使ったら、2つめのポートには残りの15Wを割り当てて充電を継続し、最初のポートでの充電が完了したり、デバイスが取り外されたりしたときに、ふたつめのポートに電力を再配分するようなインテリジェントな振る舞いを期待したいところだ。そうすれば人間がポートを区別する必要がない。

世の中の多くのデバイスが充電の新しい当たり前としてUSB Power Deliveryに対応し、充電アダプタとデバイスが入念な打ち合わせをしてから充電がスタートするようになり、安全安心でデバイスの劣化も抑制する高速充電ができるようになった。

少しややこしいと感じるかもしれないが、充電器の仕様について、ちょっと気にして、賢い買い物をしてほしい。