ASUSのビジネス向けフラッグシップノートPC「ExpertBook」シリーズの最上位モデル、ExpertBook Ultra(B9406CAA)をレビューします。
ExpertBook Ultraは、最新のIntel Core Ultraシリーズ3(Panther Lake)プロセッサと新世代の統合GPU「Intel Arc B390」を搭載したCopilot+ PC対応の14型ノートPCです。LPDDR5X 64GB/PCIe 5.0 SSDという最新世代の構成を採用し、ビジネス用途で求められるパフォーマンス・携帯性・バッテリー駆動時間を高い水準でまとめています。
日本では2026年第二四半期以降の発売が予定されています。
ビジネスフラッグシップらしい落ち着いた質感と14型ボディ
まずはExpertBook Ultraの外観をチェックしていきましょう。
本体カラーは「Morn Grey」(モーングレー)と名付けられた、やや明るめのグレー。マグネシウム合金のボディに、中央にはASUSロゴが控えめに配置されています。暗すぎず、安っぽくもならない絶妙なトーンで、ビジネスシーンに馴染むデザインです。米国国防総省のMIL-STD 810H準拠の堅牢性テストもクリアしており、移動の多いビジネスユーザーでも安心して持ち歩けます。
本体サイズは幅約312×奥行220×厚さ10.9〜16.4mm。最薄部は約10.9mmで、横から見るとくさび形のシルエットです。重量は実測で1134.5gと、14型クラスとしては軽量で、ビジネスバッグはもちろん、薄手のスリーブにもすっぽり収まります。外出先での持ち運びにストレスを感じる場面はほぼありません。
ディスプレイは14.0型・解像度2880×1800ドット(3K)のタンデム有機EL(Tandem OLED)パネル。2層の発光層をスタックさせることで、従来の有機ELよりも高輝度と長寿命を両立した新しい方式です。アスペクト比は16:10で、ドキュメントやWebページの縦方向の情報量をしっかり確保できます。
リフレッシュレートは最大120Hz、DCI-P3 100%の広色域、VESA DisplayHDR True Black 1000認証取得、輝度は標準600nits(HDR時1400nits)と、ビジネス用途にとどまらず、外出先での写真・動画の確認にも十分な表示品質です。タンデム有機ELならではの引き締まった黒と鮮やかな発色で、長時間のドキュメント作業でも目が疲れにくいと感じました。
また、ノングレア(非光沢)仕上げになっているのも嬉しいポイントです。有機EL搭載機はグレアパネルを採用するモデルが多いなか、本機は照明や窓の映り込みが抑えられるので、オフィスや会議室、外出先のカフェといった環境光が変わりやすい場所でも視認性を確保しやすい仕様です。
加えて、タッチ操作にも対応。プレゼンテーションでの指差し操作や、ちょっとしたスクロール・ピンチ操作などをキーボードから手を離さずに行えるのは、ビジネス用途で地味に便利です。
キーボードはJIS配列で、Copilotキーも搭載しており、Copilot+ PCらしい構成です。US配列ベースのため、エンターキー周りはやや窮屈に感じる配列ですが、キーストロークは適度な深さがあり、長時間のタイピングでも疲れにくい印象です。バックライトも搭載しており、暗い環境でも視認性は良好でした。
気になったのは、電源ボタン兼指紋認証センサーがキーボード最上段右端、通常であればDeleteキーがある位置に組み込まれている点です。しっかりと押し込まないと反応しない設計なのでタイピング中の誤動作はほぼありませんが、キーとは独立した位置に配置されているとなお良かったと感じました。
タッチパッドは大型で操作感は良好。ジェスチャー操作もスムーズにこなせます。
インターフェースは、左側面にThunderbolt 4(USB4)×1、USB 3.2 Gen 2 Type-A×1、HDMI 2.1、3.5mmコンボジャック、右側面にThunderbolt 4(USB4)×1、USB 3.2 Gen 2 Type-A×1を配置。USB Type-Aを2基、フルサイズHDMIまで残しているのは、ビジネス用途ではありがたいポイントです。USB-Cハブを持ち歩かなくても、出先のディスプレイや有線機器に直接接続できます。Thunderbolt 4は2基ともUSB PD・DisplayPort出力に対応します。
ワイヤレスはWi-Fi 7とBluetooth 6.0に対応。Webカメラは前面に207万画素(FHD)のIRカメラを搭載し、Windows Helloによる顔認証も利用できます。プライバシーシャッターも備えており、プライバシー面の配慮も十分です。スピーカーは6基構成でDolby Atmosにも対応しており、オンライン会議や動画視聴でも音はしっかりしています。
付属のACアダプターは出力90WでUSB PDに対応。ただし重量は実測で352.5gあり、決して小型・軽量とは言えません。本体と合わせると約1.5kgに達するため、本気で携帯性を高めたい場合は市販の小型USB-C充電器を使うのが現実的でしょう。
また、本体に合わせたスリーブケースも付属しています。購入してすぐにそのままビジネスバッグに放り込んでも傷を心配せずに済むので、別途ケースを買い足す必要がないのは地味にありがたいです。
ベンチマークで性能を検証
ベンチマークソフトを使ってExpertBook Ultraの性能をチェックしていきます。
今回ASUSから貸与を受けたサンプルの構成は以下のとおりです。
- OS:Windows 11 Pro
- CPU:Intel Core Ultra X7 358H(Panther Lake、4P+8E+4LP/16コア16スレッド、最大4.8GHz)
- メモリ:64GB LPDDR5X-8533(オンボード)
- ストレージ:1TB PCIe 5.0 x4 NVMe SSD
- グラフィックス:Intel Arc B390(CPU内蔵、Xe3アーキテクチャ、12 Xeコア/1,536シェーダー)
- NPU:Intel AI Boost(最大50 TOPS)
ExpertBook UltraはIntelの最新世代「Panther Lake」を採用したCore Ultraシリーズ3を搭載。前世代のLunar Lakeから内蔵GPUがXe3アーキテクチャの「Intel Arc B390」へと刷新されており、CPU・GPU双方が新世代に切り替わったモデルです。NPUは最大50TOPSクラスのAI処理性能を持ち、Copilot+ PCの要件を満たしています。
なお、検証にあたっては、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定しています。
CPU性能をCINEBENCH R23/2024/2026で確認しました。14型のビジネスノートPCとは思えないマルチコアスコアを記録しており、前世代のLunar Lakeと比較してもマルチコア性能の伸びは明確です。Panther Lake世代の進化を実感できる結果と言えるでしょう。
PCMark 10でも総合スコアは高水準で、特にProductivityとDigital Content Creationの伸びが目を引きます。一般的なオフィスワークから写真編集・軽い動画編集まで含めたビジネス用途であれば文句なしの性能で、Excelの大型ファイルの再計算やブラウザの多タブ運用でも、もたつきを感じる場面はありませんでした。
続いて、新世代の内蔵GPU「Intel Arc B390」の実力を見るため、3DMarkとゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の結果を見ていきましょう。
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3DMarkの結果(Fire Strike/Time Spy/Steel Nomad Light)
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ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
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FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
3DMarkではFire Strike・Time Spy・Steel Nomad Lightいずれも、内蔵GPUとしては頭ひとつ抜けたスコアを記録しました。一世代前のエントリークラスの専用GPUに迫る水準で、Xe3アーキテクチャの実力が見えてきます。
実ゲームのFF14(1920×1080、FSR有効)でも、最高品質設定で「快適」、標準品質では「とても快適」評価を獲得。FF15も軽量品質で「とても快適」、標準品質で「快適」と、フルHDであれば品質を選んで快適に動作します。重量級タイトルをガッツリ遊ぶための1台ではありませんが、出張先の空き時間にカジュアルにゲームを楽しむ程度であれば問題なくこなせるレベルです。
ストレージはUMIS製の1TB NVMe SSDで、注目はPCIe 5.0 x4接続である点。CrystalDiskMarkではシーケンシャルリードがPCIe 4.0世代のSSDを大きく上回る結果に。大容量の動画素材や開発プロジェクトのコピー、仮想マシンの展開といったストレージI/Oが重い作業でも待たされる場面はほぼありません。フラッグシップらしい構成です。
ExpertPanelとMyExpertによるビジネス向けAI機能
ExpertBook Ultraは、Copilot+ PCとしてのAI機能に加えて、ASUS独自のビジネス向けAIスイートを搭載しています。
ASUS「ExpertPanel」は、画面右側からスワイプで呼び出せるサイドパネル型のランチャー。「AIミーティング議事録」「AI翻訳字幕」「画面の透かし」「動画の透かし」など、ビジネス用途で需要の高いAI機能が集約されています。Turboモードやスタンダード充電モードへのワンタップ切り替え、キーボードバックライト調整、マイクのオン/オフといったハードウェア寄りの設定もここから完結するので、業務中の細かい切り替えがスムーズになります。
「ASUS MyExpert」は、AIプロダクティビティ・AIコラボレーション・AIアシスタントといったビジネス向けAIサービスを束ねたアプリです。デバイス内AIとクラウドベースAIをシームレスに切り替えられるとうたっており、機密性の高い情報はオンデバイスのNPUで処理し、汎用的な処理はクラウドに逃がす、といった使い分けが可能です。
Pro版にアップグレードすることでAIライター・メールマスターなどのツールが解放される仕組みで、議事録や顧客メールの下書きといった日常業務をAIに任せたい層には刺さる構成です。Copilot+ PC標準のAI機能と組み合わせれば、社外秘の資料整理から定型業務の自動化まで、業務効率化につながる機能がひと通り揃います。
19時間オーバーの圧倒的なバッテリー駆動時間
ビジネスノートPCで何より気になるのがバッテリー駆動時間です。電源モードを「バランス」、画面輝度を50%、キーボードバックライトをオフに設定したうえで、PCMark 10 Battery(Modern Office)で計測したところ、19時間41分という結果を記録しました。
省電力性に優れたPanther Lake世代の特性に加え、ASUS側のチューニングも効いていそうで、丸一日の外出はもちろん、出張で1泊2日程度なら充電器を持たずに乗り切れる水準です。Web会議や資料作成といった実務的なワークロードを含めても余裕で1日持つ計算で、外回りやリモートワーク中心の働き方にはありがたい性能です。
USB PD対応のため、汎用のUSB-C充電器でも充電可能。これだけバッテリーが持てば、外出時はモバイルバッテリー1本でも十分カバーできるでしょう。
ビジネスの全部入りを目指したフラッグシップ
ASUS「ExpertBook Ultra(B9406CAA)」は、最新Panther Lake世代のCore Ultraシリーズ3、新世代内蔵GPUのIntel Arc B390、LPDDR5X 64GB、PCIe 5.0 SSDと、ビジネスノートPCの全部入りとも言える贅沢な構成にまとめられた一台です。
ベンチマーク結果からは、CPU・GPU・ストレージのすべてで前世代から確かな進化が確認できました。特にバッテリー駆動時間は、ビジネス向け14型ノートPCとしては頭ひとつ抜けた結果です。
加えて、ExpertPanelやMyExpertといったASUS独自のビジネス向けAIスイートも、Copilot+ PC標準のAI機能と組み合わせて、議事録作成・翻訳字幕・メール下書きといった日常業務に役立ちます。
日本での価格は執筆時点で未発表ですが、性能・バッテリー・拡張性・AI機能と、ビジネスノートPCに求められる要素を高い水準でまとめています。「外出先でもデスクトップ並みの作業をしたい」「1日中AC電源を気にせず働きたい」「機密性の高いAI処理を端末側で完結させたい」というビジネスユーザーには、発売後の有力な選択肢となる一台です。
























