• 国内PC市場が落ち込む中でも、「VAIO」が好調だ

    国内PC市場が落ち込む中でも、「VAIO」が好調だ

ノジマは、2026年度上期(2026年4月~9月)の連結業績を発表。VAIOの業績を示すプロダクト事業セグメントの売上高は前年同期比17.8%増の403億700万円、経常利益は39.9%増の43億9500万円となり、売上高および経常利益は、いずれも過去最高値を更新した。

10月27日に、業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2026年度上期の国内PC出荷実積では、国内全体のPC出荷台数が前年同期比33.5%減と、約3分の2の水準にまで落ち込み、出荷金額も前年同期比6.8%減と前年割れの状況となった。

法人需要と経済安保は追い風、ノジマ起点の取り組みも功を奏す

前年同期のWindows 10のサポート終了に伴う買い換え特需などの反動を受けて、国内PC市場全体が大幅な落ち込みを見せるなかで、VAIOが前年同期比2桁増という高い水準で成長するという異例の結果になったといえる。

ノジマ 取締役兼常務執行役 財務経理部長の幡野裕明氏は、「個人向けPCに関しては、前年同期の特需の反動が見られているが、法人の買い換え需要は好調である。PCの価格が、しばらくは下がらないという認識が広がっており、価格上昇トレンドも法人向けPCではマイナス要素にはなっていない。VAIOの好調ぶりを牽引しているのはB2Bである」と語った。

  • ノジマ 取締役兼常務執行役 財務経理部長の幡野裕明氏

    ノジマ 取締役兼常務執行役 財務経理部長の幡野裕明氏

また、「経済安全保障の観点から、長野県安曇野で国内生産しているVAIOを選択したいという声があったり、新幹線のなかでもVAIOを見る機会が増えたりしている。安曇野の工場では、設備投資を強化しているものの、現在はフル生産の状況となっている。メモリなどの市場価格の高騰や、一部供給逼迫が続く厳しい市況のなか、製品の安定供給の確保に取り組み、生産を継続することに力を注いでいる。また、これまでは、VAIOは価格が高いといった印象が強かったが、国内生産によってコストコントロールができる強みを生かすことができているほか、部材価格の高騰により、他社製品との価格差がなくなり、VAIOを選択しやすい環境が整い、むしろ、VAIOの良さを知ってもらえるチャンスが増えている」とも述べた。

  • パソコンでも「国産」にスポットが当たる?

    パソコンでも「国産」にスポットが当たる?

さらに、「ノジマの発案を起点とした新たな顧客体験の創出を進め、2026年8月には『VAIO ウェルネスケア』を発表し、9月には、VAIO独自のマルチフリップ機構を採用した『VAIO T』および『VAIO T work』を発売した。さらに、ノジマ店舗内の『VAIO Shop in Shop』では、個人向けカスタマイズモデルの取り扱いを開始するなど、購入体験の向上にも取り組んだ」と、2026年度上期におけるVAIO事業の成果をアピールした。

VAIOは、「日経コンピュータ 顧客満足度調査」のクライアントパソコン部門において、2年連続で総合満足度1位を獲得しており、「昨年は僅差であったが、今年はダントツで顧客満足度1位になった」と、評価が高まっていることについても自信をみせた。

ノジマ本体の業績も過去最高、日立家電の買収も完了

一方、ノジマの2026年度上期の連結業績は、売上高は前年同期比8.9%増の5037億円、営業利益が同17.6%増の325億円、経常利益は同61.7%増の495億円、EBITDAは同44.0%増の613億円、当期純利益は同72.9%増の335億円となった。

売上高、営業利益、経常利益、EBITDAは、過去最高を更新。最終利益も、2020年度に、スルガ銀行などの持分法による投資利益を除くと、過去最高を更新した。上期で売上高が5000億円を突破したのは今回が初めてとなる。

  • ノジマの2026年度上期の連結業績。売上高、営業利益、経常利益、EBITDA、最終利益ともに過去最高を更新している

    ノジマの2026年度上期の連結業績。売上高、営業利益、経常利益、EBITDA、最終利益ともに過去最高を更新している

幡野取締役兼常務執行役は、「ノジマは、積極的に多角化を進めているように見えるが、デジタルとお客様を中心に、関連する領域を円のように広げている。事業が相互作用を発揮し、ノジマチームとしての強みを生かし、2026年度は売上高1兆円の達成に取り組む」とした。

デジタル家電専門店運営事業の売上高は前年同期比17.6%増の1864億円、経常利益は16.0%増の129億円。いずれも過去最高値を更新した。8月以降は、前年の高気温などによる反動から季節家電の伸びが鈍化し、パソコンも、前年の買替え需要の反動により減少したが、2027年問題による駆け込み需要が旺盛なエアコンが、好調な売れ行きをみせた。

ノジマ 取締役兼代表執行役副社長 A&AVソリューション推進部長の温盛元氏は、「エアコンの2027年問題はこれから盛り上がりをみせることになる。お客様の立場に立った『コンサルティングセールス』により、最適なものを提案できるように社員を育成することに加えて、在庫の備えや、迅速に取り付けができる準備を進めている」とした。

また、ノジマでは、人材、店舗、DXへの投資を継続。2026年度として、2回目のベースアップを決定したほか、店舗面では、東京都および神奈川県を中心としたドミナント展開を進めて、小型店舗の出店や既存店舗の売場面積の適正化を実施したという。

2026年度上期には、デジタル家電専門店として9店舗を新規出店したほか、3店舗を閉店し、247店舗体制となった。

  • ノジマ 取締役兼代表執行役副社長 A&AVソリューション推進部長の温盛元氏

    ノジマ 取締役兼代表執行役副社長 A&AVソリューション推進部長の温盛元氏

東京・池袋エリアへのヨドバシカメラの出店による影響については、温盛取締役兼代表執行役副社長がコメント。「ノジマは、東武百貨店池袋店内に出店しており、対応策としてセールを展開したり、一時的な落ち込みを経験したりといったこともあったが、いまでは前年実績を上回っている。東武百貨店のなかにあり、ゆっくりと座って買い物ができるというメリットがあり、価格だけの競争ではなく、質の面でも評価されている。新宿のノジマ 新宿タカシマヤタイムズスクエア店、ノジマ 練馬駅前店についても、現時点では影響はない」とした。

ニフティやセシールなどのサービス事業の売上高は前年同期比7.9%増の385億円、経常利益は38.7%減の20億円となった。ニフティは、ノジマ チームとの連携強化や自社販路の拡大によって、FTTH会員数が初めて120万人を超えたという。だが、販管費の増加により、営業利益は前年を大きく下回った。同社では、組織運営と収益性における課題を抜本的な改善するために体制を変更。今後は、サービス・サポートの品質を高めていくという。ノジマ本社の東京・品川への移転に伴い、東京・新宿にあったニフティの本社機能を品川の本社内に統合。これもニフティの経営改革にプラス効果が出ているという。

キャリアショップ運営事業の売上高は前年同期比3.0%増の1879億円、経常利益は18.4%増の132億円となった。過去最高値を更新している。

各通信事業者が、通信と金融サービスを組み合わせた経済圏の拡大を推進するなか、通信契約の獲得に加えて、店頭における金融サービスの口座開設サポートや資産形成サービスの案内など、通信と金融を組み合わせた提案を推進。また、応対品質の向上に取り組むとともに、店頭でのスマートフォンサポートなどを通じて、安心、安全、快適にスマートフォンを利用できる環境づくりに努めたという。

キャリアショップ運営では、直営店とFC店を合わせて、12店舗を新規出店および譲受した一方で、9店舗を閉店および譲渡したことで、940店舗体制となった。

また、海外事業の売上高は前年同期比8.8%増の443億円となり過去最高を更新。経常利益は同36.7%減の2億円となった。シンガポールでは、前期に実施された政府の省エネ製品購入支援策の反動により、エアコンおよび冷蔵庫などの大型白物家電を中心に需要が停滞したが、その他の地域では、高価格帯や省エネ商品の需要を確実に取り込んだのに加え、IT商品分野においては、メモリ価格の高騰などの調達難に対して、計画的な在庫確保によって対応。堅調な売上げを維持したという。

メディア事業の売上高は前年同期比8.6%減の12億円、経常利益は同50.7%増の11億円。ケーブルテレビ局への提案を行い、新たに約16万世帯への放送サービスの提供を開始。「版権管理室」を新設して、保有コンテンツの管理・活用体制を整備した。

ノジマでは、2026年度(2026年4月~2027年3月)連結業績見通しを上方修正した。2026年度としては、2回目の上方修正となる。

売上高は前回公表値から300億円増額の前年比7.9%増の1兆600億円、営業利益が60億円増額の同11.0%増の650億円、経常利益は70億円増額の同33.2%増の830億円、EBITDAは70億円増額の同20.1%増の1040億円、当期純利益は60億円増額の同38.7%増の540億円とした。

ノジマの幡野取締役兼常務執行役は、「上期におけるデジタル家電専門店運営事業では、エアコンなどを中心とした季節家電が好調に推移。キャリアショップ運営事業、プロダクト事業、海外事業も堅調に推移し、売上高が当初予想を上回ることから上方修正した」と説明した。

なお、ノジマは、2026年4月に、日立ブランドの家電事業を買収することを発表し、2026年度中に新体制で事業を開始する計画を打ち出している。先頃、家電事業を行う新会社の社名を、KADENOVA株式会社にすると発表した。KADENOVA(カデノヴァ)は、「KADEN(家電)」と「NOVA(新星)」を組み合わせた造語で、日立ブランドの家電が長年培ってきた技術力、品質、信頼を受け継ぎながら、日本の家電業界に新たな価値と成長を生み出す「新しい星」になることを目指す思いを込めたという。

ノジマの幡野取締役兼常務執行役は、「統合に向けた取り組みは順調に進んでいる。海外家電事業において。独占禁止法などの課題があるが、スピード重視で考えており、2026年度中に完了させるというスケジュールに変更はないだろう」とした。

今回の通期見通しの修正のなかに、KADENOVAの業績は織り込んでいない。KADENOVAの年間売上げ規模は約3000億円となっている。