第98回アカデミー賞国際長編映画賞の台湾代表に選出されたツォウ・シーチン監督の『左利きの少女』(公開中 配給:スターキャットアルバトロス・フィルム)の""左手"にまつわる本編映像が公開となった。

  • ショーン・ベイカー製作『左利きの少女』の"左手"にまつわる本編映像が公開

    ショーン・ベイカー製作『左利きの少女』の"左手"にまつわる本編映像が公開

『左利きの少女』は、台湾出身のツォウ・ シーチンの単独監督デビュー作。第98回アカデミー賞国際長編映画賞の台湾代表に選出され、ショートリスト入りを果たしたほか、第26回東京フィルメックスでは観客賞を、第20回ローマ国際映画祭では最高賞を受賞するなど、各国で広く支持を集めてきた。

ツォウ・ シーチンは、本作で制作と編集を務めているショーン・ベイカーとの協業でも知られている。ツォウ監督は、大学生時代にショーン・ベイカーと出会い、『テイクアウト』(2004)で共同監督デビュー、以降はプロデューサーとして『タンジェリン』(2015)、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』 (2017)、『レッド・ロケット』(2021)などで彼を支えてきた。

ツォウ監督の出身地である台湾・台北に実在する「通化街夜市(臨江街夜市)」でロケーションが敢行された本作は、5歳の左利きの主人公・イージン(ニーナ・イエ)が祖父から「左づかいは悪魔」と叱られたことに端を発している。実はツォウ監督自身も「元」左利きの少女で、祖父に右手を使うように助言を受けた実体験を基にしている。撮影には『タンジェリン』同様、全編でiPhoneを使用。

この度、本質に迫る本編映像が公開となった。映像では、祖父から「左手を使うな、左手は悪魔の手だ!」と強く叱責されたイージンが、その悪魔の左手で盗みを繰り返していたことが発覚、店主から姉のイーアン(マー・シーユエン)に一報が入るという何ともショッキングなシーンから始まる。イージンの子供ながらに母親や家族を想う気持ちが盗みにまで膨らんでしまったという点が観る者の心を締め付ける。

妹のイージンに「悪魔の手」のいきさつを聞いたイーアンは祖父母の家へと向かう。「左手は悪魔の手だろ。使わないようにちゃんとしつけろ!」と言い放つ祖父に対して、「左利きは普通。悪魔の手なんかないって言って」と強く求めるイーアン。そしてイージンに「悪魔の手なんか存在しない、これはあんたの手なの」と言って聞かせる件は、この物語の本質に迫るシーンだ。

ツォウ・シーチン監督の実体験から着想を得たとされる本作だが、古いしきたりに翻弄される現代人の側に立って物語を構成している。「無意識の習慣の中には間違っていることも多い。今回は、そうした偏りが今の時代にはそぐわなくなってきていることを描きたかった。今は誰しもが働きに出て、女性も、母親たちもお金を稼ぐ。自分自身の伝統を築いていくべきだと思う」とシーチン監督が語るように、他者の痛みを理解し、多様性や時代の変化に対応することが重要なのだと気付かせてくれる重要な一場面。イージンの思わぬ行動に我々大人たちもハッとさせられたことだろう。忙しない日々の暮らしの中で、子供たちから与えられる大切な気づき。5歳の少女と彼女を取り巻く多世代家族の面々にはどんな結末が待ち受けるのだろうか。全編を通して監督が描きたかった要素が、これらシーンに凝縮されていると言っても過言ではない。

■ストーリー
台北、夜市・麺屋台。5歳のイージン(ニーナ・イエ)は、借金を背負ったシングル・マザーのシューフェン(ジャネル・ツァイ)と ハイティーンの姉イーアン(マー・シーユエン)とともに生活を立て直すべく田舎町から舞い戻る。ある日、昔気質の祖父に利き手である左手を"悪魔の手"とそしられ、罪悪感を抱きはじめたイージン。その悪魔の手は図らずも、家族それぞれがひた隠しにする《罪》をあぶり出していく――。

■出演者
イージン:ニーナ・イエ
イーアン:マー・シーユエン
シューフェン:ジャネル・ツァイ

■スタッフ
監督:ツォウ・シーチン
脚本:ツォウ・シーチン、ショーン・ベイカー
製作・編集:ショーン・ベイカー

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