『君の見る世界をなぞる』(2026年8月21日公開 配給:樂舎)で監督を務めるロバン・カンピヨからメッセージ動画が届いた。

  • 『君の見る世界をなぞる』で監督を務めるロバン・カンピヨからメッセージ動画が到着

    『君の見る世界をなぞる』で監督を務めるロバン・カンピヨからメッセージ動画が到着

『君の見る世界をなぞる』は、階級社会の断絶や戦争の影、不安と閉塞感が漂う現代を背景に、「自分とは何者か」を探し続ける若者の姿を鮮やかに映し出す青春映画。不確かな時代を生きる我々の胸に、美しくもほろ苦い余韻を残す。

監督を務めたのは、『BPM ビート・パー・ミニット』(2017)でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞したロバン・カンピヨ。本作は、『パリ20区、僕たちのクラス』(2008)でパルム・ドールに輝いたローラン・カンテが長年温めてきた企画を、彼の逝去後、盟友であるカンピヨ監督が遺志を受け継ぎ完成させた。

主人公エンゾの瑞々しい十代の心の揺らぎを繊細に体現したのは、新人エロワ・ポユ。元競泳選手である彼は、飾らず自然な佇まいがローラン・カンテとロバン・カンピヨの目に留まり、本作で俳優デビューを飾った。周りの世界に馴染めないエンゾを支える両親役には、『シチリアーノ 裏切りの美学』(2019)などイタリア映画界を索引する名優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノと、『天使が見た夢』(1998)でカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を獲得したエロディ・ブシェーズ。さらにエンゾが淡い憧れを抱くウクライナからきた労働者ヴラド役には、実際に建築現場で働いていたウクライナ出身のアマチュア俳優マクシム・スリヴィンスキーが起用されている。

この度、日本公開を記念し、ロバン・カンピヨ監督から、「とても大切な作品だ」と明かす本作を引き継ぐことになった経緯や、映画を通して描いたものについて語った日本宛の特別メッセージ動画が届いた。

本作は、憧れを抱く職場の先輩ヴラドとのもどかしい関係性だけでなく、エンゾの心の揺らぎを形づくる要因のひとつとして、家族とのぎこちない関係性も丁寧に描き出している。カンピヨ監督はエンゾを取り巻く家族の在り方について 「家族とは、おそらく社会の中で一番"偶然によって成り立つ構造"なのかもしれません。エンゾは、家族の中でどこか"居場所を失った者"のように感じてい ます。ローラン(・カンテ)は思春期の少年を、成長しようともがくさなぎのような存在として描くのではなく、むしろ家族から完全に切り離された人物として提示することにこだわりました」と明かし、"家族"が必ずしも安心できる居場所にはならない可能性を見せている。そんな家族から孤立しようとしている息子を理解しようと奮闘する父親について、「私たちは父親のもつ矛盾性に興味がありました。慈悲深くありたいと思いながら、心配するあまり過干渉になってしまうところです。エンゾの父は、料理や洗濯などの家事をしますが、彼は汚れた服を拾うことを口実にエンゾの部屋に入り、息子を監視しているようにも見えるのです。私たちを惹きつけたのは、まさにこうした曖昧さなのです」と、愛情とその危うさを孕む人物像について語る。誰にとっても身近な存在である一方、自分で選ぶことのできない"家族"という関係性。偶然によってつながれた関係性ゆえに息苦しさを感じてしまうエンゾの姿は、誰もが自らの記憶と重ね合う瞬間があるだろう。

■ストーリー
南仏の裕福な家庭で育った16歳のエンゾは、学校に馴染めず、建築現場で見習いとして働いている。そこで出会ったウクライナ出身の青年ヴラドに憧れを抱き、惹かれていくが、彼は兵役のため戦争へと向かわなければならない。満ち足りた生活を 送る家族への反発、進むべき道のわからない将来への不安、そして親しい人が奪われる戦争の現実。自分の感情を制御できぬまま、エンゾが過ごす夏は、静かに形を変えていく。

■出演者
エンゾ:エロワ・ポユ
パオロ:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
マリオン:エロディ・ブシェーズ
ヴラド:マクシム・スリヴィンスキー

■スタッフ
監督:ロバン・カンピヨ
原案:ローラン・カンテ

©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI, Alexandre Mattiussi