ファティ・アキン監督作『白パンと独裁者』(2026年8月7日公開 配給:ビターズ・エンド)で撮影監督を務めるカール・ウォルター・リンデンローブによる圧巻の映像美が光る本編映像が公開となった。
『白パンと独裁者』は、監督を務めるファティ・アキンの恩師でありドイツ映画界の重鎮であるハーク・ボームが自らの幼少期の記憶を綴った脚本を映画化した作品。12歳の少年・ナニング(ジャスパー・ビラーベック)の目線で、ドイツ北部・アムルム島を舞台に第二次世界大戦終戦間近の揺れ動く時代が映し出される。
この度、『インデペンデンス・デイ』(1996)などを手掛けた撮影監督カール・ウォルター・リンデンローブによる、圧巻の映像美が光る本編映像が公開となった。主人公ナニングは、ヒトラーの死をきっかけに心身を病み、一切の食事を受け付けなくなった母・ヒレ(ローラ・トンケ)を元気づけるために、生まれて初めて自らの手でウサギを狩り、家族に戦時下で貴重な肉料理を振る舞う。しかし、母は相変わらず手に取ろうとせず、叔母・エナ(リーザ・ハークマイスター)との口論に発展するなど、家族の空気は悪化の一途を辿っていた。
最悪の夜が明け、「バターとはちみつをたっぷり塗った白パンが食べたい」という母の唯一の願いを叶えるため、ナニングが立ち上がる場面から映像は始まる。まだ薄暗い早朝、ぐっすりと眠る弟妹たちを横目に、ヒトラー青年団の制服に身を包んだナニングは決意を秘めた表情で家を後にする。自転車を押し向かうのは、ナニングたちが暮らすアムルム島の隣に位置するフェール島。干潮のわずかな時間だけ陸続きとなるその島を目指し、潮が引いたばかりのぬかるむ干潟を渡っていく。アムルム島に多く生息するミヤコドリの姿が瑞々しく描かれる中、広大な海岸線とどこまでも広がる空。その壮観な自然のただ中にぽつりと佇むナニングの姿は力強く、観る者の胸に深く迫る映像となっている。
撮影監督を務めたカール・ウォルター・リンデンローブは、『インデペンデンス・デイ』をはじめとするローランド・エメリッヒ監督作品を数多く手掛けてきたことで知られる。今回が初タッグとなったファティ・アキン監督は、「カールは素晴らしい撮影監督であり、彼の卓越した技術的知識がなければ実現できなかったシーンがたくさんあります」と語り、初めてとは思えないほどの絶大な信頼を明かした。さらにアキン監督は、「忘れてはならないのは、彼が普段慣れているハリウッド映画のような莫大な予算はなかったということ。そしてロケ地が自然保護区であったため、数多くの制約が存在したことです。クレーンも使えなければ、撮影用のレールを敷くことすらできない。私たちはまるで野生動物の撮影クルーのように少人数で、きわめてクラシカルな手法を用いて撮影を行いました」と続け、厳しい制限の中で撮影を成し遂げた現場を振り返った。
本作は、8月7日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。アムルム島の雄大なロケーションとカール・ウォルター・リンデンローブの手腕が際立つ映像美をぜひ劇場で体感していただきたい。
■ストーリー
第二次世界大戦末期、本土へ向かう爆撃機が上空を飛行する中、ドイツ北部に位置するアムルム島はどこか美しく、楽園のような静寂を保っていた。戦地から疎開してきた12歳の少年ナニング(ジャスパー・ビラーベック)は、父に代わり農作業で得たわずかな食糧で身重の母ヒレ(ローラ・トンケ)と幼い弟、叔母(リーザ・ハークマイスター)ら家族を支えている。島民たちが終戦を待ち望むなか、ナチス国家、ひいてはヒトラーへの忠誠を信じて疑わないヒレ。しかし、ラジオがその死を告げた瞬間、彼女は取り乱し、家族の日常も一変していく。生気を失い、食事を拒むヒレが唯一欲したのは、たっぷりのバターとはちみつが塗られた白パンだったー母の願いを叶えるための冒険の中で、ナチスへの忠誠が当たり前だった少年が目にする、戦争の終わりと家族の秘密。彼が守りたかった世界を揺るがす、静かなる衝撃が明かされる。
■出演者(役名:俳優名)
ナニング:ジャスパー・ビラーベック
ヒレ:ローラ・トンケ
エナ:リーザ・ハークマイスター
ヘルマン:キアン・ケップケ
テッサ:ダイアン・クルーガー
■スタッフ
監督:ファティ・アキン
脚本:ハーク・ボーム、ファティ・アキン
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