バルミューダは5月12日、2023年12月期の第1四半期決算説明会をオンラインで実施。冒頭、代表取締役社長の寺尾玄氏は携帯端末事業からの撤退を明らかにしました。

「私たちはスマートフォンを生活必需品として考え、自分たちならではの提案ができたと思っています。ソフトウェアアップデートなどを通じてBALMUDA PHONEの価値向上に取り組んできました。並行して次期モデルの開発を進めてきましたが、条件が合わず、開発の検討を中止しました。経営資源を家電事業の強化と当社の独自性をより発揮できる新たな商品ジャンルの開発に集中すべきと判断し、携帯端末事業の終了を決定しました」(寺尾氏)

撤退の背景としては、原材料価格の高騰と急激な円安の進行といった外的要因が大きかったとのこと。また、「ソフトウェアのクオリティを作り込むことが困難でした。それを乗り越えるには時間と根性だけでなく、多大な資金が必要でした」(寺尾氏)とも。

  • 「新しいジャンルを開拓しなければならないという思いの行ったチャレンジ、結果的にこう(撤退)なりました。残念ですが、とてもいいチャレンジだったと思います」(寺尾氏)

なお、BALMUDA PHONEのサポートは継続します。流通状況にもよりますが、当面はBALMUDA PHONE、および周辺機器も購入可能です。

携帯端末事業の終了に伴う特損は5億3,600万円

売上高は24億500万円(対前年同期比41.2%減)でした。携帯端末事業の終了に伴い、5億3,600万円の特別損失を計上し、営業利益はマイナス4億1,600万円、営業利益率は前年同期比マイナス17.3%。当期純利益は11億4,400万円の赤字となりました。

「自己資本比率は60.2%を保っています。これは、会社の足腰の強さを示す数値の1つだと思っています。まだまだ頑張ります」(寺尾氏)

  • バルミューダの2023年12月期・第1四半期業績サマリー(連結)

巣ごもり特需の反動続く

現在のバルミューダは、日本に加えて韓国や北米、そのほかの地域で販売を展開していますが、製品別およびカテゴリー別の売上高はほとんどの領域で減少しています。特に落ち込みが大きいのは日本。2022年前半までの約2年間、コロナ禍による巣ごもり需要を享受してきましたが、その反動が続いています。反動の強さは「想定以上であり、当面続く」(寺尾氏)とのこと。

ただ、売上高・営業利益・売上総利益率・販管費率推移については回復の兆しも。

「売上総利益率が31.1%と前期対比で改善の回復基調に入ってきたことはいいサインだと思います」(寺尾氏)

  • 日本での業績の落ち込みが大きくなりました

  • どのカテゴリーでも売上高が減少しています

  • 売上総利益率は回復基調に転じました

2023年度の通期業績目標は下方修正

巣ごもり特需からの反動という状況において、2023年度通期の業績目標を下方修正。売上高は当初予想の167億円から159億5,000万円へ。営業利益はマイナス5億2,000万円、当期純利益はマイナス12億5,000万円の赤字という見通し。営業利益率はマイナス3.3%としています。

  • 業績目標を下方修正

今後は、経費の最適化などによる原価低減、広告宣伝や販促活動の強化によるブランディング強化、さらに新ジャンルの開発によって、収益力の改善を目指します。

具体的には既存事業の強化。家電カテゴリーで6月と11月に一部の製品をリニューアルし、10月には新製品の投入を予定しています。合わせて、北米における販売力の強化、東南アジア地域での販売を予定したりと、展開地域の拡大も計画中です。

  • 海外事業の拡大を計画中

  • 製品別の業績予想も修正しました

IoT家電開発の可能性も

携帯端末事業は撤退しますが、「BALMUDA Technologies(バルミューダテクノロジーズ)」ブランドは継続します。携帯端末開発およびアプリ開発の知見は、IoT家電の開発などに生かしていく考え。

「これまでは家電をIoT化しても仕方ないと思っていましたが、違うレベルの組み合わせ方があるんじゃないかというフレッシュな考えがあります。家電のIoT、さらに家電だけじゃなくいろいろなものがネットにつながって、これまでになかった便利さや楽しさを入れ込んでいけるのではないかと思っています。その開発をやっている真っ最中」(寺尾社長)