インド政府が、インド国内での半導体製造を促進するため、数十億ドル規模の巨額の資本支援と生産に連動した税制や関税優遇などのインセンティブプランを用意し、TSMCやUMC、Intelなどの半導体企業と話し合いを行っていると、インドの日刊紙「The Times of India」が11月1日付けで報じている。

それによると、インドの首相官邸(PMO)が綿密な計画を立て、それに従って海外半導体企業と交渉を行っているという。名前が挙がっている企業の中にはAMDや富士通があるが、これらの企業はファブレスであり、実際の製造からは手を引いているため、インド政府は、ファブレス・ファウンドリの水平分業モデルをインドで実現しようとしているとの見方もある。

富士通は、海外拠点の中でも最大規模のITサービス拠点をインドに置いているほか、2021年10月には研究開発拠点も設置し、人工知能(AI)や量子コンピュータ、セキュリティなどの研究を強化すると発表するなど、インドに注力しており、インド政府からの信頼も厚いようだ。

台湾のFoxconn(ホンハイ)は、すでにインド南部にある組み立て工場にて電子機器の最終組み立てを行っており、2020年も工場の拡張に10億ドルを費やすなどの実績がある。しかし、そこで用いられる半導体はすべてインド国外からの輸入に頼っているという。インドの2020年の半導体輸入額は240億ドルであったが、2025年までに1000億ドルにまで拡大するとみられ、こうした背景から、インド政府も海外半導体企業の誘致を進め、輸入頼みの半導体を一部でも国内で製造することを目指す方針を定め、そのために動き始めたようである。