チーターデジタルは9月22日、「圧倒的なカテゴリーリーダーになる方法とは?」をテーマにセミナーを開催した。同社の副社長兼CMO 加藤希尊氏がホストを務めたWeb対談では、クラフトビール業界のカテゴリーリーダーであるヤッホーブルーイングのよなよなピースラボ(CRM設計・CXデザインユニット)ラボ長 佐藤潤氏をゲストに迎え、自社製品のファンの見つけ方から、エントリー顧客をミドル顧客に引き上げる施策など、消費者にファンになってもらうためのコミュニケーションについて解説された。

  • チーターデジタルジャパン 副社長兼CMO 加藤希尊氏(左)、ヤッホーブルーイング よなよなピースラボ(CRM設計・CXデザインユニット)ラボ長 佐藤潤氏(右)

顧客の中から、いかにしてファンを見つけるのか?

加藤氏「2:8の法則やパレートの法則と言われるように、企業には、ロイヤルユーザーやヘビーユーザーが売り上げの大半を占めているという構造があります。企業によって比率は異なりますが、一部の顧客が売り上げの大部分を構成しているケースは多いです。ヤッホーブルーイングも2:8の法則を意識していると思いますが、それをどのように顧客コミュニケーションやアプローチに反映しているのでしょうか」

佐藤氏「当社の場合は上位10%くらいのファン層が売り上げの約60%を支えてくださっています。また、事業を拡大する際には新規の利用者との出会いも重要であり、ファン層の口コミから新規顧客が増えるアプローチがあります。この2つの視点から、当社ではファン層を大切にしています。ファンの声を理解するために、定期的に顧客アンケートを実施していて、ブランドロイヤリティを定量的に測るようにしています」

加藤氏「ヤッホーブルーイングでは、ファンの方をどのようにして構造的に把握しているのでしょうか」

佐藤氏「ブランドロイヤリティを測っていく中で、利用者の気持ちや心理がいくつかの階層になっていることがわかりました。一般的なリピーターから熱量があるファンへと変化する際のボーダーとして、会社のミッションへの共感があると思っているので、会社の理念も大切にしています」

  • 顧客の改装と感情の関係

加藤氏「リピーターとファンの間にある溝を超えてもらうために、どのような工夫をしているのですか」

佐藤氏「製品を好きになってもらう過程は、大きく3段階に分けられると思います。1つ目は製品の機能的なベネフィットに対する好き、2つ目は情緒的なベネフィットに対する好き、そして3つ目は作り手の想いに対する好きです」

加藤氏「ヤッホーブルーイングではどのようにファンを獲得してきたのでしょうか」

佐藤氏「当社は1997年に創業しました。当時は地ビールブームがありましたので売り上げが好調だったのですが、地ビールブームが終わると共に業績も下がっていきました。そうした中で、ECサイトを通じて全国のファンの方と直接つながってコミュニケーションをとりながら、徐々に売り上げが回復してきた過程があります。こうした経緯から、ファンの方に助けられたとことが当社の中DNAとして残っていますね」

ファンへの最初のステップとなる「エントリーユーザー」の獲得方法とは?

加藤氏「ヤッホーブルーイングではどのようにエントリーユーザーを獲得してきたのでしょうか」

佐藤氏「当社製品の特徴として、クラフトビールに嗜好の高い方に選ばれやすい点があります。もう一つは、店頭でパッケージを見て手に取っていただける点です。いかに店頭で見つけていただけるかが大切なので、製品開発をするときはターゲットを詳しく絞るように意識しています」

加藤氏「ファンと一緒に作るコミュニケーションについて、その背景にあるアプローチやプロモーションはどのように考えていますか」

佐藤氏「これまでに当社製品を飲んだことがない方に製品を届けようとすると、多くのプロモーションコストが必要です。そこで、ファンの方のエンゲージメントを高めて、それがにじみ出る部分を作ることを意識しています。この連鎖が、結果的に新規のお客様に届くと思っています」

  • ファンの輪を広げるアプローチ