東京海上日動火災保険は4月21日、保険金の支払業務を担う損害サービス部門における新システムの構築に向け、音声マイニング技術を使用して通話内容を分析するAI(人工知能)を自社開発したと発表した。

特許出願という同技術を使用したシステムのトライアルを現在実施しており、今後の本格的な導入により、電話応対や顧客に対する事故対応状況の報告を含む損害サービス業務の品質向上および、システム入力の負荷削減による業務効率化を目指していく方針だ。

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同社によると、事故対応の記録は、電話で話した内容などに基づいて予めシステムに登録している定型文を選択しながら作成しており、第1段階から第3段階までに分かれた定型文の組み合わせは数百通りに上るという。

従来は損害サービス部門の担当者が、これら選択肢の中から手動で言葉を選び記録を作成してきたが、音声マイニング技術を使用して顧客との対話内容をテキスト化し、テキスト内の単語や文字単位で内容を解析することで、対話内容に適する定型文をAIが予測して提案可能になる。

同社は同システムのトライアルを、2021年3月から自動車事故の対応を行う一部の拠点で開始しており、今後、より精度を高めたうえで2021年度中に全店に本格展開する予定としている。自動車保険に加えて、火災保険などその他の保険商品への応用も検討していく。

同システムの利用により、従来は手動で数百種類から選択していたものが自動で予測・提案するため、通話終了後に実施していた記録入力の時間を短縮できるという。また、同じ通話内容でも定型文の選択における損害サービス担当者によるバラつきが生じにくくなり、記録品質の向上を見込めるとしている。

これにより、顧客にとってわかりやすい進捗状況の記録が可能になると共に、電話中にメモを取る必要も無くなるため、電話中は顧客や関係者との電話応対に注力できる。電話応対の品質向上につなげていく方針だ。