凸版印刷は4月15日、同社が2019年10月から提供している金融業界向けの印刷物・デジタル媒体の制作から校正業務の効率化を支援するというサービスである「AI校閲・校正支援システム」をアップデートし、オンライン校正・回覧機能およびコミュニケーション機能を強化した。2022年度までに関連受注を含めて累計100億円の売上を目指す。

  • システムのイメージ

【関連記事】
≪凸版印刷、金融向けAI校閲・校正サービスを開発≫
≪凸版印刷、AIとVRでバーチャルオープンキャンパスを実現‐中央大学で実験≫

今回のアップデートでは、赤字入れ(修正指示)を同一ファイルに対し複数人で同時に可能にしたという。さらに、関係者間で校正内容や疑問を共有し速やかに解決・認識統一できるとのこと。これらにより、リモートワーク下での社内回覧・校正業務が可能としている。

また、自動チェック機能と組み合わせることで、アップロードしたファイルに対して問題箇所にアラートを提示した状態から校正業務を開始できるとのこと。自動チェックを基に複数人で制作ファイルを確認できるため、リモートでの確認・校正業務の支援に加えて、作業者の負荷削減と効率化が可能という。

さらに、日本語誤り箇所の推測精度の向上を目的に、学習・推論アルゴリズムにGoogleの自然言語処理モデルであるBERTを採用した。同サービスの特徴として同社は、1)AI(人工知能)を使用した誤表記検出、2)制作レギュレーションの管理、3)制作業務に適するインターフェースの3点を挙げる。

誤表記検出については、AIが導入企業やその業界特有の表記や専門用語を学習することで、各企業が求めている基準に合わせて誤表記を検出するという。また、助詞の誤用や漢字誤変換なども、文脈に合わせて判断・検出できるとのこと。

制作レギュレーションの管理に関しては、媒体独自の制作ルールや基準をシステムが管理し、異なる制作者・管理者による品質のばらつきを防止するという。媒体ごとに異なるレギュレーションの複数管理も可能としている。

インターフェースについては、確認者による完成文書のチェックおよび制作段階における文章チェックに合わせたインターフェースをそれぞれ提供することで、制作時のチェックからオンラインでの赤字入れ、修正指示出しまでの制作フロー全体のデジタル化・効率化を支援するとのこと。テレワークの環境下でも滞りなく、オンライン上で校閲・校正のやり取りが可能という。

同サービスの価格は、初期費用が550万円、運用費用が月額44万円。