Samsung Electronicsが車載半導体の代表的企業であるNXP Semiconductors、Texas Instruments(TI)、ルネサス エレクトロニクスの3社のいずれかの買収を検討していると、韓国の代表的経済メディア「韓国経済新聞」が1月31日付で報じている。

これはSamsungが1月28日に実施した決算発表直後のテレカンファレンスにて崔輪鎬(チェ・ユンホ)最高財務責任者(CFO)が、「今後3年間でM&A(合併・買収)を推進していくことを決めており、買収対象企業を検討し準備を進めている。そのために、内部に留保している現金を有効活用する」と話しており、その発言を踏まえた同社内部に詳しい人物および外部のM&A関係者の話として伝えている。

崔CFOは、検討中の買収対象企業名は明かさなかったが、同社は現金性資産を116兆ウォン(約11兆円、2020年第3四半期末時点。年末時点では120兆ウォン超とみられる)保有しており、これを買収資金に充てる見込みだという。

同紙によると、Samsungは、すでにNXPとTIの工場を実地調査しており、11兆円あれば複数社を買収することも可能だろうと伝えている。なお、ルネサスについては、日韓関係が冷え込んでおり、話が進むか否か微妙だとしている。

崔CFOは、Samsungが2016年に車載部品サプライヤの米Harman International Industriesを80億ドルで買収したことに触れ、「過去3年間はM&Aをうまく行えなかったが、保有現金が増えたことに株主が懸念を抱いており今後積極的にM&Aを行っていく」としている。その3年の間に米国を中心に半導体企業の大型買収が相次ぎ、ライバルのSK HynixもIntelのNAND事業を90億ドルで買収したほか、キオクシアへの間接的な資本参加を行うなど、Samsungを脅かす規模へと成長しようとしている。

Samsungは、2030年までにメモリビジネスだけではなく、非メモリ事業でも(TSMCを追い抜き)世界一を目指すと宣言しており、社内事業を伸ばすだけでは売上高を大きく伸ばすことは不可能であることから、大型M&Aが必須となっている。