ウェザーニューズは8月20日、集中豪雨などの防災に役立てるツールとして、au向け「ウェザーニュース」アプリをバージョンアップし、浸水被害を疑似体験できる「AR浸水シミュレータ」を公開したと発表した。

近年、日本各地で大規模な豪雨が相次いでおり、河川の氾濫や家屋の浸水といった水害が多発している。2020年7月に熊本では、線状降水帯による豪雨で球磨川の氾濫が発生し多くの被害がもたらされた。

気象庁によると、全国の1時間降水量80mm以上の年間発生回数は年々増加しており、気象災害、水害への備えが必須となってきているという。

一方で、同社が2018年に行った調査によると、西日本豪雨の際、「避難すべき状況」と認識していたにもかかわらず避難しなかった人は全体の84%に上り、その中の4割以上の人が、避難しなかった理由として「自分の周辺は大丈夫だと思った」と回答したという。

  • AR浸水シミュレータ

今回、同社が提供を開始したアプリ「AR浸水シミュレータ」は、AR(拡張現実)技術を活用し、スマホのカメラで自分の目の前の景色が浸水した状況を映し出す。

浸水の深さは画面上で10cm単位で設定可能で、浸水が50cmになった場合や1mになった場合、今見ている景色がどのように変化するのかをスマホの画面に可視化する。また、アプリ上では水流や水の色も指定することも可能で、浸水の状況をリアルに体験することができるとしている。

さらに、ユーザーの位置情報から、想定しうる最大規模の降雨で河川が氾濫した際の浸水リスクをシミュレーションすることができる。具体的には、ユーザーの位置情報と国土交通省が発表している洪水浸水想定区域データとを照らし合わせ、想定しうる最大規模の降雨により河川が氾濫した場合、現在地で想定されている浸水深を画面上に表示する。

例えば、銀座駅周辺では50cm、浅草駅周辺では1mの浸水が想定されており、これらの想定を、実際の景色に重ねて見ることが可能だ。

  • 銀座駅周辺のシミュレーション

  • 浅草駅周辺のシミュレーション

なお、同アプリはAndroid専用アプリで、起動にはGoogleのAR Core対応端末およびauMarket版「ウェザーニュース」アプリと「AR浸水シミュレータ」アプリの両方が必要。「AR浸水シミュレータ」アプリは「ウェザーニュース」アプリのメニューからインストールが可能(auスマートパス会員が対象)。

同社は今後、同アプリをiOSや他キャリアにも広く展開していく予定だという。