本格的な夏を前に、長く降り続く雨。気象庁は7月9日、九州などで7月3日から続いている豪雨を「令和2年7月豪雨」と命名しました。雨だけでなく、近ごろは首都圏などで大きな地震が頻発しており、こちらも気がかりです。防災用品のチェックをしている人も多いでしょう。この機会に「災害による停電に備えて持っておきたいデジタル製品」「インターネットを活用した防災対策」をまとめました。皆様の防災対策の一助となれば幸いです。(※価格は7月9日時点の編集部調べ)

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    台風など災害に備えて、持っておきたいデジタル製品・知っておきたいサービス

モバイルバッテリー・ポータブル電源

日常生活に欠かせない電気。大雨や台風などの影響で停電が発生し、電気が使えなくなると、たとえ短時間であっても不安が大きくなるものです。特に、災害が発生した際はスマートフォンや携帯電話が情報収集に欠かせませんが、バッテリーの保ちには限りがあります。充電用にモバイルバッテリーを買い足しておいたり、複数のモバイルバッテリーを持っているならすべて満充電にして備えることをおすすめします。

ここでは、比較的新しいモバイルバッテリー等を中心に紹介します。

懐中電灯やランタンになるモバイルバッテリー

エレコムは、防災やアウトドアで使えるLEDライト装備のモバイルバッテリー2製品を7月上旬に発売します。価格はオープンプライス。店頭価格(税別)は、懐中電灯としても使える「DE-M20L-3350」シリーズが3,980円前後、大きな発光部を備えた「DE-M21L-6700」シリーズが4,980円前後。

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    懐中電灯としても使えるエレコム「DE-M20L-3350」シリーズ

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    大きな発光部を備えたエレコム「DE-M21L-6700」シリーズ

DE-M20L-3350シリーズのバッテリー容量は3,350mAh、最大出力は2.4A。先端のライト発光部は防水仕様で、水の入ったペットボトルの口にセットすればランタンとして活用できます。明るさは5段階で調節でき、SOSのモールス信号で発光するパターンも備えています。ライト点灯時の連続使用時間は、50ルーメン時で約21時間50分。

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    DE-M20L-3350シリーズは、水の入ったペットボトルの口にセットすれば、ランタンとして活用できる

DE-M21L-6700シリーズのバッテリー容量は6,700mAh、最大出力は2.4A。ランタンとして使える発光部を備え、ライト点灯時の連続使用時間は、65ルーメン時で約45時間。本体はIP44の防塵・防水性能を持ち、短時間の弱い雨程度なら耐えられるとしています。三脚穴(1/4インチ)を設けており、撮影の照明としても使えるそうです。

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    DE-M21L-6700シリーズは、ランタンとして使える大きな発光部を備える

ソーラーパネル付きの大容量モバイルバッテリー

スリー・アールシステムは、ソーラーパネルを4枚搭載し、太陽光でも充電できるINOVAブランドの大容量モバイルバッテリー「3R-SRP01」を発売しました。価格は税込4,490円。Amazonや楽天市場の直営店「ココロミクラブ楽天市場店」などで販売しています。

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    INOVAの大容量モバイルバッテリー「3R-SRP01」

バッテリー容量は20,000mAhで、iPhone Xなら最大5回充電可能。最大出力は2.1A。USB端子は2つあり、2台のスマホなどを同時充電可能。バッテリー本体はUSB充電に対応するほか、折りたたみ式のソーラーパネル4枚によって「1枚のパネルと比べて3倍以上速く蓄電できる」としています。照明、点滅、SOS信号モードに切り替えられ、最長25時間使えるLEDライトも備えています。

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    折りたたみ式のソーラーパネル4枚で本体のバッテリーを充電できる

ソーラー充電対応、最大800ルーメンの明るいLEDライト

朝日電器は、最大800ルーメンのLEDライトやソーラーパネルを搭載した、ELPAブランドの「充電できるライト」を発売中。価格はオープンプライスで、店頭価格は税込4,100円前後を見込んでいます。

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    ELPA「充電できるライト」

ライトの明るさは800ルーメン(HI)と350ルーメン(LOW)を切り替えられ、HI時はフル充電で約3.5時間、LOW時は約10時間連続点灯できます。防水性能はIP65準拠の耐塵形/防噴流形で、アウトドア / 屋外の作業 / 緊急時の防災用などに役立つとしています。バッテリー容量は2,000mAh。最大出力は1A。バッテリー本体はUSB充電のほか、ソーラー発電にも対応します。

ミニ冷蔵庫も使えるポータブル電源

キャンプや旅行などのレジャー用途を想定したポータブル電源が各社から発売されています。なかでもアンカーの「Anker PowerHouse 200」は、57,600mAhのバッテリーを搭載し、ミニ冷蔵庫のような小型の電化製品にも使えるとしています。価格は29,800円(税込)で、アンカー公式ストアやAmazon.co.jpで販売中です。

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    アンカー・ジャパン「Anker PowerHouse 200」

最大5V/3A(各ポート最大3A)のUSB Type-A出力×2と、USB PD(Power Delivery)対応のUSB Type-Cポート、110VのACコンセント、12V DCシガーソケットを各1基搭載。主な使用回数(時間)のめやすとして「MacBookを3回以上、スマートフォンを約15回、ミニ冷蔵庫のような小型電化製品であれば連続で4時間以上使用可能」としています。本体充電用のACアダプターと電源ケーブルが付属します。

持ち運べるポータブルエアコン

暑さと湿気が気になる夏場は、持ち運べるポータブルエアコンが1台あると、万が一被災したときも安心できそうです。サンコーの「運べるスポットクーラー ワイルドクーラー」は、一般的な家庭用エアコンと同じコンプレッサー方式ながら、取っ手付きで持ち運べるようになっている製品です。価格は税込29,800円で、出荷は7月中旬以降。

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    サンコー「運べるスポットクーラー ワイルドクーラー」

送風と冷風の2モードを備え、風量は弱と強で調節できます。冷却能力は293W(1,000BTU)。電気代は5時間使用で約7.29円と、低コストでの運用が可能としています。排水用ドレーンから出る水は少なく、ペットボトルをセットするだけで十分とのこと。本体前面にはLEDライトを備えています。本体サイズは214×525×290mm(幅×奥行き×高さ)、重さは9.8kg。

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    AC100V出力を備えたポータブル電源で駆動できる

手回しラジオ

ソニーは、ハンドルを回してスマートフォンや携帯電話を充電できるFM/AMポータブルラジオ「ICF-B99」「ICF-B09」を発売しています。LEDライトを備え、懐中電灯としても使えます。ヨドバシ.comでの販売価格(税込)は、ソーラーパネルを上部に備えたICF-B99が8,120円、ソーラーパネル非搭載のICF-B09が6,710円。

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    ソニーのポータブルラジオ「ICF-B99」はソーラーパネル付き

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    ソニーのポータブルラジオ「ICF-B09」

手回し充電に対応するラジオは他にも各社から発売されており、一例として山善からは、手回し充電ラジオ「YTM-R100」(実売5,530円)と手回し充電テレビ+ラジオ「YTM-RTV200」(実売10,310円)が発売されています

ABEMAやNHKプラスで情報収集、iPhone用チューナーも

災害時の情報収集先のひとつとして、インターネットテレビ局「ABEMA」のニュースチャンネル等で逐次行われる、気象庁会見の中継が役に立ちます。

また、スマートフォンやPCでNHK総合テレビとEテレ(教育テレビ)の番組を見られるサービス「NHKプラス」が2020年4月から正式にスタート。NHKプラスのID登録には受信契約情報の入力が必須で、未登録の場合は画面右下の四分の一が利用登録をうながすメッセージで覆われます。ただし災害時などはこのメッセージ表示が消える運用になっていて、7月10日現在、毎時のニュース番組では実際にメッセージが消えています。

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    「NHKプラス」のiOSアプリの画面。災害時等は利用登録していない(ログアウトした)状態でも、利用登録をうながすメッセージが画面右下に表示されません

画質に関しては、受信する端末側の回線品質に合わせて自動で最適化してくれますが、4段階での手動設定もできます。モバイル回線とWi-Fiの回線ごとに設定でき、最低画質は416×232ドット/192kbps、1時間あたりのデータ容量の目安は約0.1GB。NHKプラスのWebサイト上では、視聴時の通信量・通信料金を抑える方法として、アプリ画面右下の設定(歯車マーク)をタップし、「再生環境」の「画質(モバイル回線)」から「低」や「最低」を選ぶよう案内しています

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    NHKプラス視聴時の通信量・通信料金を抑えるには、アプリ画面右下の設定(歯車マーク)をタップし、「再生環境」の「画質(モバイル回線)」から「低」や「最低」を選ぶ

インターネット回線が通信回線の混雑などで重くなったり、そもそもつながらなくなる可能性も考え、スマートフォン用のテレビチューナーを用意しておくと安心です。

Androidスマートフォンにはワンセグチューナー内蔵モデルもありますが、国内でユーザーが多いiPhoneはチューナーを搭載していないため、テレビを見るには別売チューナーが必要です。一例として、ピクセラから発売されているLightning直結型ポータブルテレビチューナー「Xit Stick XIT-STK200」(サイトスティック)のヨドバシ.comの価格(税込)は12,580円。地上デジタル放送を直接受信するため、データ通信料はかかりません。

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    ピクセラ「Xit Stick XIT-STK200」

iPhoneやiPadのLightningコネクタに、XIT-STK200をさし込み、専用視聴アプリ「Xit」を立ち上げるとテレビが見られます。フルセグ/ワンセグ両対応で、フルセグの電波が入りにくい場所では自動でワンセグに切り替わります。放送番組の録画機能も備えています。Lightning端子から給電されるため、XIT-STK200を充電する必要はありません。本体サイズは約47.8×31×9.1mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約15g。

対応OSはiOS 10/11/12、対応機種はiPhone X、iPhone 8 Plus/8/7 Plus/7/6s Plus/6s/6 Plus/6/5s、iPhone SE、iPod touch(第6世代)、iPad Pro、iPad Air 2/Air、iPad mini 4/mini 3/mini 2。iPad(第5世代)。

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    XIT-STK200の利用イメージ

アプリで防災情報や雨の状況をチェック

「利用者に最適な防災情報を国内最速レベルで配信する」という、iOS/Android向けの無料アプリ「特務機関NERV 防災アプリ」があります。対応OSはiOS 12.1以降と、Android 6.0以降。

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    「特務機関NERV 防災アプリ」

2011年の東日本大震災以降、休むことなく防災情報を発信しているTwitterアカウント「特務機関NERV」(@UN_NERV)のスマホアプリ版で、洪水や土砂災害などの防災気象情報を、利用者の現在地や登録地点に基づいて最適化して配信。被害が予想される地域に居住する人や訪問者が状況を的確に認識し、迅速な判断・行動が取れるよう補助する目的で開発されました。

人気アニメに由来するアプリ名やデザインを採用していますが、提供する防災気象情報は、気象業務支援センター(気象庁本庁舎および大阪管区気象台内)と接続した専用線からダイレクトに受け取ることで情報の信頼性を担保し、ゲヒルンが独自に開発した技術により「国内最速レベルの情報配信」を実現するなど、実用性の高いアプリです。

このほか、首都圏で急速に発達する雨雲予測を最短1分ごとの更新で表示するiOS/Android用の無料アプリ「tenki.jp Tokyo雨雲レーダー」を日本気象協会が提供しています。対応OSは、iOS 13以降とAndroid 8以降です。

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    「tenki.jp Tokyo雨雲レーダー」

世界初の実用型「マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)」を活用したアプリで、上空の強い降水域をいち早く、正確に観測できることで、数分後に地上に到達する強い雨を事前に察知できるとしています。

MP-PAWRで観測した高精度データと、日本気象協会が提供する天気予報専門メディア「tenki.jp」のノウハウを生かしているのが特徴。MP-PAWRの観測情報を活用した予測情報を一般の方に広く提供するアプリは、本アプリが初めてということです。

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    「tenki.jp Tokyo雨雲レーダー」の画面のイメージ

世界中の風の動きを地図上に表したビジュアルでおなじみのWebサイト「Windy.com」は、2019年10月に台風19号が日本列島を襲った際に注目を集めました。ブラウザ版のほか、iOS/Androidアプリも用意されています。対応OSは、iOS 11.0以降とAndroid 5.0以上。海外発のサービスですが、日本語化もされています。

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    「Windy.com」の画面のイメージ

Windy.comへアクセスすると地図が表示され、風速が色で、風の流れが粒子のアニメーションで表示されます。画面下部のスライドバーを動かすと指定した日時の予報を表示。再生ボタンを押すと、時間ごとの天候の変化をアニメ表示させることもできます。

画面右端のツールバーから最大瞬間風速や雨量、波の高さといった各種情報を切り替えられるほか、天気予想モデルをヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)とアメリカ海洋大気庁(GFS)から選べます。さまざまなデータを見ながら防災に役立てられそうです。

災害用伝言板、無料Wi-Fiスポット「00000JAPAN」

大規模な災害が発生し、被災した家族と連絡が取りにくくなった場合に活用できる連絡手段が「災害用伝言板」です。NTTドコモとau、ソフトバンク、ワイモバイルは災害発生時に「災害用伝言板」「災害用音声お届けサービス」というサービスを提供。災害時には、各キャリアの公式サイトトップページに大きく表示されます。情報は各キャリアで相互に共有されており、異なるキャリア間でも安否情報を確認できます。

楽天モバイルのほか、いわゆる格安SIM(MVNOサービス)を使っている場合は、NTT東日本・西日本が提供するサービス「災害用伝言板(web171)」から、伝言を残したり、確認することができます。こちらも各キャリアの災害用伝言板と連動しています。

Googleでは氏名を使って安否情報を登録するサービス「Googleパーソンファインダー」を提供。また、各社の災害用伝言板やGoogleパーソンファインダーを含めて一括検索できる、NTTレゾナント「J-anpi」もあります。J-anpiは、協定を結んでいる自治体が提供する安否情報も検索できます。

Facebookでは「災害支援ハブ」というサービスを提供しています。被災したFacebookユーザーが、自分の安全を友達に知らせたり、支援・サポートの要請や提供を行ったり、最新のニュースや情報を得られる仕組みです。

なお、災害発生時に連絡や情報収集などでインターネット環境が必要になッた場合は、NTTドコモやau、ソフトバンクなどが共通SSID「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)でWI-Fiスポットを無料開放します。

遠隔地のお年寄りに避難をうながす「逃げなきゃコール」

国土交通省は、遠隔地のお年寄りに避難をうながす「逃げなきゃコール」を提供しています。

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    「逃げなきゃコール」

避難の必要が差し迫っている高齢者の家族にメールで避難情報を知らせ、家族から本人に直接避難を促す電話をかけてもらう、という流れです。豪雨などで避難指示が出ても、避難をするかどうかの判断がしづらいとされる高齢者の逃げ遅れによる被害を減らすことを目的としています。

「NHKニュース防災」アプリや「Yahoo! 災害情報」アプリ、Webサービスの「au 登録エリア災害・避難情報メール」で、実家などの地域をあらかじめ登録しておく必要があります。

家電の「通電火災」に注意。普段から防災意識を

停電への備えや情報収集に役立つモノ・サービスを紹介してきましたが、床上の浸水対策や漏電を防ぐため、家電などのコンセントを抜いて高所や2階に移動させることも大事です。

また、電気配線などが損傷していると、停電の復旧時に「通電火災」が発生する可能性があります。消防庁では「停電中の自宅を離れる際はブレーカーを落とす」、「給電が再開されたら、電気機器が破損していないか、配線やコードが損傷していないか、燃えやすいものが近くにないかなど、十分に安全を確認してからブレーカーを戻す」ことを呼びかけています(PDF、リンク先は地震後の火災防止について、消防庁 消防大学校 消防研究センターによる注意喚起)。

災害に見舞われる前に、普段から防災意識を高めておくことも大切です。日本気象協会のWebサイト「トクする! 防災」では、「夏の備蓄前線2020」や、エヴァンゲリオン仕様の防災パンフレット「防災知識補完計画」(PDF)といったコンテンツを提供中。食料品・生活必需品の備蓄の見直しや、災害に対する事前の備えに役立ててください。

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    「夏の備蓄前線2020」

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    エヴァンゲリオン仕様の防災パンフレット「防災知識補完計画」