なんだかんだ言ってXPS 13 2-in-1 2019年モデル(以下、XPS 13 2-in-1)を使いつづけている。“こいつ”のおかげでゲームマーケット2019秋からコミケット97(2019年冬コミC97)までの修羅場を乗り切り、3月8日のゲームマーケット2020大阪に向けた修羅場を乗り切ろうとしていたら中止になったり、そもそも次のモデルが登場してもう「New」といえなくなってしまったり、といろいろあったが、とにかくXPS 13 2-in-1を使い続けている。

昨今、1つの製品をこんなに長く評価し続けることは(今となっては)珍しい。それなのに、この製品のある重要な特徴についてまだ全然言及していなかったりする。それは……。

「XPS 13 2-in-1って、2-in-1 PCなんだよね」

  • あ、いっけねー、そういえば2-in-1 PCだったっけ、これ

    あ、いっけねー、そういえば2-in-1 PCだったっけ、これ

そういえば2-in-1 PCだったんだよね……

あああー、まったくもってその通り。「立ってスレートスタイルのタブレット、座ってクラムシェルスタイルのノートPC、歩いても使える2-in-1」なこの製品。しかし、ここまで一連のレビューで2-in-1 PCとしての言及はまだしていない。

「なぜ!どうして!」

という疑問は当然だ(特に担当編集者なら……)。

ならばお答えしよう! それは!

「重いタブレットって使うのつらいじゃない」

2-in-1 PCをタブレットスタイルで使いたいと思うとき、それは「PC本体を置く場所がないとき」だ。電車で座れなかったときに使いたい、ソファーでぐんにゃりした状態で使いたい、布団の中で寝っ転がって使いたい、などなど。このような状況でPCを使いたいと思ったらタブレットスタイルにするしかない。このような場合、PCはどのような“姿勢”で使うだろうか。スマートフォンや軽量な“タブレット専用”デバイスは、たいていの場合「片手で画面を操作してもう一方の手で本体を持つ」ことになる。2-in-1 PCも操作のことを考えれば、同じように片手で画面を操作して片手で本体を持つことになる。

  • 一般的なタブレットの持ち方では手がプルプルとしてくる

実際にやってみると分かるが、本体の重さが約1.33キロと軽量の部類といえるXPS 13 2-in-1といえど、片手で本体を持ち続けるのは難しい。スマートフォンやタブレット専用デバイスのように片“手”だけで本体を持っていると本体の大きさもあって、手からはみ出した部分もモーメントがかかり、実際の重さ以上の力が手首にかかってくる。そういうわけで、持つ姿勢としては「手のひらと前腕に本体を乗せる」ことになる。「そんなに重いなら両手で持てばいいじゃない」となるのだが、実際に使っていると、何かと画面をタッチすることが多いので、結局のところそのたびに持ち帰るのが面倒になって、常に本体を片手で持つようになってしまう(経験者 談)。

  • 前腕に乗せるのが現実的な持ち方になる

なお、本体を保持するために手を本体の“縁”にかけたいところだが、これをやると狭額ベゼルが災いして指がディスプレイに触れてしまい、意図しないタッチ操作が発生してしまう。なので、手はガバッと開いた状態でキーボードにあたる部分を持つことになる。このとき、ついつい誘惑に負けてキーボードを“うにうに”と押してしまうのだが(だって気持ちいいんだもん)、幸いにしてキーボードは反応しない。

  • ついつい気持ちよくてウニウニとキーボード押してしまうんですよね

2-in-1 PCの意外な、でも、これがあるから使いたいメリット

というわけで、2-in-1 PCを考えた人には申し訳ないのだが、数多くの2-in-1 PCを試してきた私は、10型を超えるディスプレイを搭載して本体の重さが1キロを超えるモデルをタブレットとして使うのははなはだ困難、というのが現時点における意見だ。

「ならば、XPS 13が2-in-1である意味はないの?」というと、そういうわけではない。ディスプレイが360度開くフリップ機構を採用したことで、タブレットとして使うには少々厳しいが、それ以外で利用シーンが広がっている。XPS 13 2-in-1が使える形態はクラムシェルスタイルとタブレットスタイルだけではない。ディスプレイを開く角度によってほかに、ディスプレイを270度以上開いて前面における(映像)プレーヤースタイル(ビューモードと呼びそうな)と、ディスプレイを330度程度開いてキャンプで使うテントのようなスタイル(これはテントモードと呼ぶそうな)で使うことができる。

ここで注目したいのがテントスタイルだ。そのメリットは「自立できるタブレット」のように使えることだ。自立できるタブレットといえば、本体背面に無段階で角度を調整できるキックスタンドを内蔵したSurfaceシリーズが“王者”だが、フリップスタイルの2-in-1 PCも同様のことができる。そして、自立できるタブレットの何がいいかというと、それはもうなにより「省スペースであること」に尽きる。

省スペースであることのメリットは、モバイルノートPCにおいて「使う場所を選ばない」ことにつながる。XPS 13 2-in-1はもともと13.4型ディスプレイ搭載モデルとしては狭額縁ベゼルの採用もあって本体サイズはコンパクトに収まっており、例えば、マチカフェの小さな丸テーブルや新幹線のシートテーブルでもコーヒーカップと共存できていた。しかし、フードメニューを頼んだりすると、さすがにプレートとコーヒーカップと共存することはできない。困ったことに、こういう“一人で何かを食べているとき”ほど視線のやりばに困ることが多く、できることならノートPCのディスプレイを眺めていたいと思うことが多い(こういうときこそ動画コンテンツを消化する絶好の機会)。

そこを何とかしてくれるのがテントスタイルだ。テントスタイルなら街カフェの小さな丸テーブルでもソーセージを挟んだコッペパン(って今は言わないのか?)とコーヒーカップとXPS 13 2-in-1は共存できるし、新幹線のシートテーブルでも新横浜から乗車するならこれ一択(超個人的見解)となる崎陽軒のシウマイ弁当と缶コーヒーとXPS 13 2-in-1は立派に共存できる。そのおかげで、食べている最中でも視線が不自然に泳ぐことはない。

  • 街カフェでコーヒーカップと“ソーセージを挟んだパン”と共存したXPS 13 2-in-1

  • 新幹線のシートテーブルでシウマイ弁当と共存できたXPS 13 2-in-1。ブラボー!

「え! それだけ?」

そう、それだけ。しかし、それだけでも、街カフェや移動中の新幹線でPCを使う機会が多い(そして食事をする機会も多い)私にとって、フードメニューとノートPCが同居できて食事中に利用できるXPS 13 2-in-1を所有する意味がある。

それはそれとして、XPS 13 2-in-1の“ここがすごい”

と、今回は2-in-1 PCとしてのXPS 13 2-in-1を考察してみた。製品企画者からすれば「タブレットでも実用的なことを訴求してくれよ」と言いたくなるかもしれないが、そこはやはり、実際に長期間使って何度も挑んでみた結果の正直な意見なので申し訳ない、としかいえない。

ただ、せっかく長期間使ってきて、「ああ、さすがこういうところはXPSだなあ」と“感服”したところも多々あるので、一連の長期使用レビューのまとめとして、紹介しておきたい。

まず何といっても“3K”(3840×2400ドット)の解像度は使いやすい。画面サイズ13.4型で3K4K意味あるの?という意見もあったりするが(そして、私もそう思っていたときもあるが)、実際使ってみるとAdobe IllustratorやAdobe InDesignなど、パネルやウインドウ、ツールバーを多数開けて、作業効率の高い環境を用意できる。さすがにフォントを無理なく視認するためには表示ズームを上げる必要があるが、それでも、約338ppiと高精細な表示なので、それほどズームを上げなくても大丈夫だった(実際には推奨300%のところ200%でも問題なかった)。

そして、地味ながらも意外と便利だったのが「片手だけでディスプレイを開くことができるヒンジの絶妙なトルク設定」だ。ディスプレイヒンジのトルクは、多くの場合開いたディスプレイの角度が変わらないように、どちらかというと固めに設定してある。そのため、ディスプレイを閉じた状態から開こうとすると一方の手で本体を押さえた上でもう一方の手でディスプレイを開く必要があった。これが、XPS 13 2-in-1だと、片手だけで「すっ」とディスプレイが開いてくれる。長く使っているとこれがとても便利なのが分かる。そして、すっと開く感触がこれまた気持ちよくて、これだけで評価ポイントがグンと上がる。

さらに、これも地味なメリットだが、ボディがとにかく丈夫だ。丈夫という意味には、ノートPCの訴求でよくある「堅牢」であることとともに「表面に傷がつかない」ことも含まれる。ノートPCを長く使っていると、どうしても天板や角々に擦り傷がついてしまう。実をいうと、これはメーカーから借用して私物よりだいぶ注意を払って使う評価用機材でも(程度は軽く少ないながらも)ある。しかし、XPS 13 2-in-1は、かなりの長期にわたって使用してきたが、天板にも角々にも傷がつかなかった。見た目も大事な昨今のモバイルノートPCにはこれも重要なメリットといえる。

というわけで、長きにわたって使ってきたXPS 13 2-in-1とも、これでお別れだ。デルがいう通り、これは「未来を具現化した」モデルだった、という言葉を最後に贈ろう。