IDC Japanは2月26日、「2019年 5G企業ユーザー調査」の結果について発表した。同調査は国内の企業(従業員数50名以上)にフルタイムで勤務し、携帯電話・データ通信カード・PC関連の導入に関する選定に関与している20～69歳のフルタイムワーカー1087人を対象として昨年10月にWebアンケート方式で実施したものとなる。

5Gのビジネス利用意向は全体として高い傾向にあり、何らかの形で5Gの利用意向ありとした回答は全体の53.0%と半数を超え、これはAI(同54.2%)に次ぐ高い水準での利用・採用意向になったという。業種別では情報通信業(同67.7%)をトップにサービス業や建設土木業、製造業など多くの業種で高い利用意向がみられたという。

  • 各テクノロジーに関する採用状況

    各テクノロジーに関する採用状況

5G利用意向層において5Gの利用意向のある機器としては「スマートフォン・携帯電話」が64.6%と最も高く、それとほぼ並ぶ形(61.2%)でノートパソコンが挙げられ、ARやVRのヘッドセットはいずれも少数にとどまった。

  • 5G利用検討機器〈5G利用意向者ベース〉

    5G利用検討機器〈5G利用意向者ベース〉

携帯電話・スマートフォン等での5G利用を検討している層に理由を尋ねたところ、トップに挙げられたのは「大容量のデータをやり取りしやすい」という広帯域性であり、5Gのユーザー側へのもう1つのメリットである低遅延性は下位にとどまったが、AR/VRの5Gでの活用を検討する層では低遅延性を挙げる比率も若干高い傾向にあるという。

他方、5G対応端末の利用を検討していない層に理由を尋ねたところ、5G対応端末の価格や月額通信料金がおおむね上位に挙げられたが、AR/VRに関してはユースケースの不足を指摘する声も多く挙げられた。

5Gの特性上、現行の4Gに比べ端末価格や月額通信料金を懸念する声が多いのは当然ともいえるものの、特にAR/VRにおけるユースケースに対する懸念の多さは、それを超えるだけのメリットを具体的に提示できていないという問題も同時に明らかにしているという。

同社のPC, 携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原啓氏は「5Gの市場形成のためには、通信事業者が個々の顧客の利用状況に合わせた通信コストの設定を行うことはもちろん、ソリューションベンダーなどが中心となって先進的なユースケースを積極的に応用展開し、5Gの利用に対するニーズを具体化させていく必要がある」とコメントしている。