東京ビッグサイト(青海展示棟)でNTTドコモ(以下略:ドコモ)とパートナー企業が今春にサービスが開始される5G、AI、IoTなどの最新サービスやソリューションを一挙展示するイベント「DOCOMO Open House 2020」(1月23日から24日まで)が開催。ドコモは、音声ユーザーインターフェースをパッケージ化した対話型AI「ドコモAIエージェントAPI」を使って開発された様々な製品を展示していた。

今回の展示会では、テレビアニメ「STEINS;GATE 0」で登場したAIキャラクターを実際に実装した「アマデウス紅莉栖」AIやMRを使った未来のバーチャルアシスタントなども披露、実際のデモを見ることができたので展示会の様子をレポートする。

  • 「DOCOMO Open House 2020」AIカテゴリースペース

    「DOCOMO Open House 2020」AIカテゴリースペース

最初に紹介する展示品は、「ディープラーニング×発話によるエージェント育成」サービスだ。このサービスは、利用するユーザーと音声による会話を繰り返すことで、キャラクターがユーザーの嗜好を分析し、それに合った会話や情報を提供するように進化していくもの。進化するキャラクターの名前は、四角い形が特徴の「my daiz」(マイデイズ)。すでにドコモで販売されているスマートフォンにプリインストールされているのでご存じの方も多いかもしれない。

  • 会話で進化するAIエージェント「my daiz」

    会話で進化するAIエージェント「my daiz」

AIカテゴリースペースで紹介された展示品のベースは、ドコモが開発した対話型AIのASPサービス「ドコモAIエージェントAPI」(公式ページ)をパートナー企業に提供し、販売、ビジネスの側面から支援している。展示場では、それらパートナーと共同で作成したAIサービスが複数展示されていた。いくつかを紹介しよう。

  • 「AI×電話サービス」。電話の音声を読み取り、ドコモのAIエージェントが自然な会話で電話応対することができる電話業務自動化サービス

    「AI×電話サービス」。電話の音声を読み取り、ドコモのAIエージェントが自然な会話で電話応対することができる電話業務自動化サービス

  •  「ストレスケア 心を整えるチャットボットYutakaくん」。認知行動療法に基づいたコミュニケーションを行う。ユーザーの悩みやストレス解消の効果がある。朝日新聞社、ストレスマネジメントネットワークの製品

    「ストレスケア 心を整えるチャットボットYutakaくん」。認知行動療法に基づいたコミュニケーションを行う。ユーザーの悩みやストレス解消の効果がある。朝日新聞社、ストレスマネジメントネットワークの実証実験用チャットボット

  • 雑談エンジン「katarai」。4000万シナリオ相当のデータベースを構築しそのデータから最適な応答を導き出すことで、自然な雑談を可能としているAIチャットボット。語尾アレンジなどのキャラター個性の組込みも可能。インターメディアプランニングの製品

    雑談エンジン「katarai」。4000万シナリオ相当のデータベースを構築しそのデータから最適な応答を導き出すことで、自然な雑談を可能としているAIチャットボット。語尾アレンジなどのキャラター個性の組込みも可能。インターメディアプランニングの製品

  • ロボットを通じた見守り「WWER+i ZUKKU見守りサービス」。「ドコモAIエージェントAPI」をロボットに組み込んだもので、会話に含まれるキーワードに反応してロボットが動く。ロボットを通じて離れた家族と自然な会話ができる。ハタプロの製品

    ロボットを通じた見守り「WEAR+i ZUKKU見守りサービス」。「ドコモAIエージェントAPI」をロボットに組み込んだもので、会話に含まれるキーワードに反応してロボットが動く。ロボットを通じて離れた家族と自然な会話ができる。オートバックスセブンのサービス。ロボットはハタプロの製品。

そして、今回AIブースの中でも特徴的だった一つが、絶妙なタイミングで応答ができる「言葉遊びボット」だ。NTT研究所の技術を利用して開発された「言葉遊びボット」は、音声対話の中の応答タイミングを認識し、それにあった最適な対応ができるAIチャットボット。

リズムに合わせた音声対話能力を駆使して山手線ゲームを行うことができる。会話内容にあわせて即答せず"ため"をつくることができる。デモではこの機能を活用してなぞかけや大喜利の実演を見ることができた。

  • 絶妙なタイミングで応答ができる「言葉遊びボット」。山手線ゲームやクイズ、なぞかけなどのデモが実演されていた。この技術で重要なポイントは、言葉を返す微妙なタイミングだ。適切なタイミングが入るとこで、ただのチャットが自然の会話により近くなる

    絶妙なタイミングで応答ができる「言葉遊びボット」。山手線ゲームやクイズ、なぞかけなどのデモが実演されていた。この技術で重要なポイントは、言葉を返す微妙なタイミングだ。適切なタイミングが入るとこで、ただのチャットが自然の会話により近くなる

また、今回のブースで多くの人を集めていたのが、ドコモがMRとAIエージェントを使って近未未来のバーチャルアシスタント像を提案した展示品だ。MRデバイスを通して自分の掌(てのひら)にテレビゲームなどでキャラクターを召喚するように出力。AIエージェントはユーザーの要望に応えて様々な情報を表示してくれる。

コンテンツは、だるまジャパン合同会社とのコラボレーションで実現している。同社では、他にVR握手会「セバスちゃん」も展示。こちらは、VRデバイスを活用してあたかも握手をしたような体験を表現できるサービスだ。

  • 近未未来のバーチャルアシスタント像を掌に召喚。バーチャルアシスタントと会話との会話が楽しめる。アシスタントに音声で指示することで天気やスケジュールなどを表示することができる

    近未未来のバーチャルアシスタント像を掌に召喚。バーチャルアシスタントと会話との会話が楽しめる。アシスタントに音声で指示することで天気やスケジュールなどを表示することができる

  • VRを使ってバーチャルキャラクターと握手ができる「VR握手会」。VRを使ってあたかも本物のキャラクターが存在しているかのようにAIキャラクターとの自然な対話と疑似的触感を体験できる

    VRを使ってバーチャルキャラクターと握手ができる「VR握手会」。VRを使ってあたかも本物のキャラクターが存在しているかのようにAIキャラクターとの自然な対話と疑似的触感を体験できる

そして、最後に紹介するのがAI関連の展示品で特に注目を集めていたAIキャラクター「アマデウス紅莉栖」だ。「アマデウス紅莉栖」は、人気アニメ「STEINS;GATE 0」のキャラクター。今回、ドワンゴ、MAGES.、ブックウォーカー、NTTメディアインテリジェンス研究所とのコラボレーションでAIエージェントとしてリアルに再登場することになった。AIの雑談機能には、ドコモのAI技術とNTTメディアインテリジェンス研究所の技術が活用されている。「アマデウス紅莉栖」のキャラクターを加味した会話を実現するために、実際にSNSで募集した3万件近い投稿データを活用し、よりキャラクターに合った自然な会話を実現している。

  • 「STEINS;GATE 0」のキャラクター「アマデウス紅莉栖」を模したAIエージェント

    「STEINS;GATE 0」のキャラクター「アマデウス紅莉栖」を模したAIエージェント

  • 劇中のようにスマートフォンでも会話できる

    劇中のようにスマートフォンでも会話できる