半導体製造装置材料協会(SEMI)は、12月11~13日に開催されたSemicon Japanに際し、2019年の半導体製造装置市場の最終予測として、前年比10.5%減の576億ドルに留まるも、2020年以降は同5.5%増と回復に転ずるとしていたが、その後の12月16日(米国時間)、2019年の半導体工場(前工程)の製造装置投資額の最終予測を前年比7%減の566億ドルへと引き上げを行った。

2019年上半期に低調だったメモリ分野の設備投資が下半期に急回復したことが要因で、特に3D NANDへの投資が、先端ロジックとファウンドリに関する投資増加に加わったことが背景にあるとSEMIでは説明している。また、これに伴い、2020年の前工程ファブに対する製造装置の投資額予測も580億ドルへと上方修正している。

  • SEMI

    2018年~2020年の半年ごとの半導体前工程向け設備投資額の推移 (出所:SEMI, 2019/12/16)

前工程ファブに対する設備投資額は、2018年下半期に前期比10%減、2019年上半期に同12%減、中でもメモリ分野の2019年上半期の設備投資額は同38%減となり100億ドルを下回る規模に陥った。DRAMが2018年下半期で同12%減、2019年上半期で同12%減となったほか、3D NANDが同57%減と大きく足を引っ張る結果となっていたが、2019年下半期に回復感がでてきたことで好転の兆しを見せるようになってきた。

前工程への設備投資は回復傾向へ

先端ロジックやファウンドリの投資額は、2019年下半期に台TSMCと米Intelがけん引し同26%増となる一方、3D NANDの投資額は同70%超増と急増する見込みだという。また、DRAMも7月以降はマイナス成長の勢いが鈍化しているという。

さらに、ソニーが市場を牽引するイメージセンサに関しては、2020年上半期で同20%増、同下半期で同90%超増となり、16億ドル規模に達するとSEMIでは予測している。

加えて、Infineon TechnologiesやSTMicroelectronics、Boschなどが主導的な立場にいるパワーデバイスについても、2020年上半期で同40%増、下半期でも同29%増となり、17億ドル規模に到達する勢いであるとSEMIでは見通している。

ほぼ横ばいが続く材料市場

SEMIは、SEMICON Japanにて開催されたマーケットフォーラムにおいて、半導体材料市場について、2017年なれびに2018年のいわゆるメモリバブル期間中は、前年比10%増、同11%増と2桁成長を続け、2018年には過去のピークだった2011年を抜いたが、2019年は一転して同1%減、2020年は同3%増と微減微増となる見通しを明らかにした。

  • SEMI

    半導体材料市場の推移(単位:10億ドル) (1997年以降の実績値、2019年は推定値、2020年は予測値) (出所:SEMI)

特に後工程のパッケージング向け材料市場については、2017年、2018年も微増に留まっており、前工程材料市場に比べて、今後も大きな伸びは期待できそうにはないという。

  • SEMI

    前工程向け(緑色)と後工程向け(青色)別の半導体材料市場の推移および予測 (出所:SEMI)

また、国・地域別で市場を見た場合、台湾市場がほかの国・地域と比べて圧倒的に多い見込みで、次いで韓国、中国、日本、東南アジアとアジア勢が多く、2020年はメモリ投資が復活する韓国が成長率としては前年比6%増でもっとも伸びる見通しだという。

なお、SEMIの市場調査担当ディレクタであるClark Tseng氏によると、SEMIは今回から製品カテゴリ別の材料市場は公表しないことにしたとのことである。同協会は、いままでシリコンウェハなど一部の材料を除き外部市場調査企業やコンサルティング会社のデータを引用して発表していた。

  • SEMI

    2019年および2020年の半導体材料市場の国・地域別内訳(単位:10億ドル) (出所:SEMI)