アミタとNECソリューションイノベータは12月16日、同20日(金)より、奈良県生駒市内にて「日常の『ごみ出し』を活用した地域コミュニティ向上モデル事業」の実証実験を共同で開始すると発表した。ごみの分別・持ち込みという日常行為をきっかけとして多様な市民が集い、コミュニティ活動へ参画しやすい拠点を設置し、その有効性・実現可能性などを実証する。既存の行政・市民活動との連携やICT活用などにより、統合的な地域課題の解決と、全市民が当事者となる持続可能なまちづくりを目指す。

生駒市は内閣府の「SDGs未来都市」(地方創生分野における日本の「SDGsモデル」の構築に向け、優れた取り組みを提案する自治体として内閣府が認定するもの)として選定されるとともに、市民による主体的な価値創造・まちづくり「自治体3.0」を標榜し、まちづくり・コミュニティ活動が活発な地域となっている。

一方、今後は国内の多くの自治体と同様、人口減少・少子高齢化などによる社会保障費の増大や、地域コミュニティにおける人間関係の希薄化が進行するといったリスクを抱えているという。実証実験では「ごみ出し」というすべての人にとっての日常的行為を切り口に、多様な人々が集う拠点(ステーション)を市民と共に展開し、全市民が「自然に・楽しく・当事者として」参画・協働できる持続可能なまちづくりを目指す。なお、実証実験は生駒市からの委託事業をアミタが受託し、実施する。

主な業務内容はステーションの設計・運営、ごみの回収量・品質調査、温室効果ガス排出量の削減、取り組みへの参加者数・アンケートによる意向をはじめとした測定・調査などの効果測定、結果などを踏まえたコスト・手法の検討、提案といった実現・継続可能性調査を行う。ステーション実施期間は12月20日~2020年2月28日までを予定している。

実証実験の特徴として、対象地域の市民がステーションまで自らごみを持ち込み、ステーションにはスタッフが常勤し、ごみの分別やコミュニティ機能の増幅につながるサポートを行ことに加え、センサを備えた「IoTゴミ箱」を設け、どのようなごみがいつ・どれだけ持ち込まれたかを自動的に記録。このデータを蓄積・分析し、ナッジ(行動科学の知見に基づく工夫や仕組みによって、人々がより望ましい行動を自発的に選択するよう促す手法)の考え方を取り入れ、市民が自発的に行動するような情報提供を行う。

  • モデル事業のイメージ

    モデル事業のイメージ

また、ごみの持ち込みやリユース品の交換などに参加した市民には、LINEと連携したスマートフォン専用アプリ、またはカードを通して「感謝ポイント」が付与され、ポイントは地域内の資源循環に寄与する商品や、自治会への寄付・住民同士の手伝いなどに交換することができるという。地域イベントの開催告知やごみの分別質問、リユース品の持ち込み情報の発信等も同アプリを通して行うことを可能としている。

さらに「拠点ステーション」「地区ステーション」という2種のステーションを設置し、拠点ステーションは常設拠点として、地域の自治会館を活用して設け、地区ステーションは移動式拠点として既存の地域・行政活動の拠点に併せて設置。

各ステーションでは、さまざまな地域活動(地元産の農作物を中心とした買物支援、健康増進支援、介護予防、リユース市、子ども食堂など)を開催し、既存の市民活動との連携や分野を超えた活動の企画を通して、これまで地域コミュニティとの接点が無かった方の参加や、地域課題の統合解決や社会ニーズの顕在化を狙う考えだ。

事業体制は事業主体が生駒市、実施主体がアミタで実証実験の全体企画および事務局業務、ステーション運営、市民の分別指導、集計/評価など、実施共同先がNECソリューションイノベータでICT活用に関する企画検討、アプリ運営、集計/分析などを手がける。