あいおいニッセイ同和損害保険は8月9日、最先端のテレマティクス技術を活用した全く新しい事故対応サービスである「テレマティクス損害サービスシステム」を、野村総合研究所(NRI)、SCSK、富士通、大日本印刷(DNP)、インテリジェント ウェイブ(IWI)、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)、SBI FinTech Incubationと共同で開発したと発表した。各社の最新技術とテレマティクス情報を複合して事故対応で実用化する取組みは業界初といい、これまでにない革新的かつ高品質な事故対応サービスを顧客に提供するという。

  • システムの概要と実現時期

あいおいニッセイ同和損保は、テレマティクス自動車保険で車両・デバイスから得られるデジタルデータを使用することで、各パートナー企業と共に同システムを開発したという。

契約者との電話や書類のやりとりを中心とした従来の事故対応から、走行データや運転挙動・位置情報を中心としたデジタルデータの利用による革新的かつ高度な事故対応に変革するとしている。

これにより、事故に遭った契約者の保険請求手続にかかる負担を大きく軽減し、新たな付加価値を提供すると共に、24時間365日事故対応サービスである「I'm ZIDAN」と合わせ、よりよいサービスを実現するという。

同システムの導入により、対物賠償保険金の支払いまでの日数の約50%短縮を実現していく。

その要点として同社は、受信型から発信型へ(テレマティクスデータによる事故受付)、推測から視認へ(事故場所・状況の把握)、主観から客観へ(過失・示談交渉)の3点を挙げる。

テレマティクスデータによる事故受付に関しては、事故を起こした際に契約者から事故連絡を受ける従来の受信型から、各種デジタルデータから車両の大きな衝撃を検知して保険会社から契約者へ能動的に連絡する発信型への変革により、迅速かつより適切に事故受付を実現し、契約者に安心を提供するという。

事故場所・状況の把握については、契約者から聞き取った情報を基に事故場所・状況などを把握する推測から、各種デジタルデータの可視化による視認へと変革することにより、事故直後の契約者の負担を大きく軽減するとしている。

過失・示談交渉に関しては、契約者や事故相手から聞き取った情報(主観的な情報)を基に実施していた過失・示談交渉を、ドライブレコーダー映像などのデジタルデータ(客観的な情報)を基に判定した過失割合の情報に基づく過失・示談交渉へ変革し、迅速かつより適切な解決を実現するとのこと。

同システムでは、ビッグデータやAI(人工知能)などの技術を採用し、PoC(実証実験)やアジャイル開発手法を用いることで、段階的に実現性を高めながら短期間での開発を実現しているという。

また、今回構築したプラットフォームは、多様なデータ分析や業務利用に繋げられる基盤として、新商品開発や自動運転への応用などにも活用していくとしている。

さらに、各業務システムの開発にあたり日本国内の大手パートナー企業と協業することで、高品質かつ短期間での開発を実現しているという。

同システムにおいて各社が担当するソリューションは以下の通り。

NRIはテレマティクスの可視化、SCSKは事故検知の高度化、富士通は相手車両・周辺環境を含む事故状況の把握、DNPとIWIは過失割合の判定サポート、日本IBMとSBI FinTech IncubationはAPI連携基盤を、それぞれ担当する。