弥生は10月11日、会計ソフトのデスクトップ版の最新バージョン「弥生 19 シリーズ」を10月19日発売すると発表した。ラインアップは現バージョンの「」弥生 18 シリーズ」から変わらない。

代表取締役社長の岡本浩一郎氏は、「弥生 19 シリーズ」における強化のポイントとして、「法令改正対応」と「業務効率改善」を挙げた。2019年は、新元号と消費税法改正に対応しなければならない。

  • 弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏

岡本氏は、「新元号への対応として、入力機能に加えて、多数の帳票での修正が必要となり、対象の出力帳票は約60種類以上、100カ所以上に及ぶ。入力よりも出力への対応のほうが難易度が高い」と述べた。

政府の発表では、新元号は2019年5月1日施行予定であるのに対し、発表は1カ月前の4月1日とされており、確定から改元まで時間がないため、段階的な対応になる可能性が高いという。

具体的には、オンラインアップデート機能により、新元号への対応が行われる予定だ。岡本氏は「初めは入力機能への対応にとどめ、追って、新元号に対応した帳票を提供していきたい」と語った。

  • 会計ソフトにおける新元号への対応が必要な範囲

また、消費税法改正に伴い、軽減税率を含めた3種類の税率に対応しなければならない。消費税改正についても、入力および出力機能で対応が行われるが、岡本氏は「新元号とは逆に、消費税法改正に関しては入力における対応のほうが難しい」と述べた。

なぜなら、「酒類・外食を除く飲料食品」と「週2回以上発行で定期購読される新聞」に消費税が8%の軽減税率が適用されるため、対象の取引を判断する必要があるからだ。同社は軽減税率対象の取引を自動判別する仕組みがどこまで実現可能かを精査しているところとのことだ。

  • 消費税法改正後の消費税率

  • 会計ソフトにおける消費税法改正への対応が必要な範囲

さらに、岡本氏は「軽減税率の導入への対応は会計ソフトだけにとどまらない」と指摘した。業種によっては、レジの入れ替え、受発注システムの改修・入れ替えが必要だという。ただし、「自社とは関係ないことと思っている企業が多く、危機感が薄い」と同氏。

  • 業務全体にわたる見直しが求められる軽減税率の導入

もう1つの強化ポイント「業務効率改善」としては、業務プロセスの自動化・効率化を進めるため、2014年にリリースした「スマート取引取込」を引き続き強化する。「スマート取引取込」とは、金融機関などの明細データ、レシートなどの紙証憑を自動で取り込んで、AIを活用して自動仕分けする機能だ。

具体的には、連携に対応している金融機関との連携の手段をスクレイピング方式から順次API方式に切り替えていく予定だ。API方式には、「認証情報をローカル/サーバに保存しないため安全」「金融機関公式のため信頼性も高い」といったメリットがあるという。

  • 「スマート取引取込」の強化点

また、有償の年間サポートサービス「あんしん保守サポート」に関しては、これまで初年度を無償で利用できるキャンぺーんを実施してきたが、今回より、年度無償で提供する「初年度優待制度」を開始する。

  • 「弥生 19 シリーズ」における強化ポイント