世界に広がるLPBの輪

村田製作所の参画に加え、LPBは世界を巻き込む形で近年、動きを加速させている。その1つがCadence Design Systemsの参画。同社のプリント基板設計におけるパワーインテグリティ、シグナルインテグリティのサインオフ検証を加速する「Sigrity」の2017年版にて、LPBフォーマットのインポートに正式対応したとのことで、これによりEDA/シミュレーションツールとしては、Cadence、Mentor、ANSYS、そして図研といった大手がメンバーに名を連ねたこととなり、相当数の設計エンジニアが何らかの形でLPBフォーマットにアクセスしやすい環境が構築されたこととなる。

  • CadenceのSigrity 2017がLPBをサポート
  • CadenceのSigrity 2017がLPBをサポート
  • Cadence Design Systemsの「Sigrity」が2017年版にてLPBフォーマットのインポートに正式対応した

また、IEEE 2401-2015として標準化されたLPBフォーマットだが、当時のフォーマットはv2.2であり、現状のv3.0以降への更新が求められることとなる。そのためLPB-WGでは、2020年の改訂に向けて、IEEEでの改訂活動を盛り込んだv3.1を2018年中に策定し、それを元に、2019年中のIEEE Std 2401-2020としての承認、2020年の早い段階での発行を目指すとする。

  • LPBフォーマットの国際標準改訂に向けたロードマップ
  • LPBフォーマットの国際標準改訂に向けたロードマップ
  • LPBフォーマットの国際標準改訂に向けたロードマップ

さらに、現状LPBがカバーしているのはアブストラクトの層であるが、JEITAとしてはモデルにもつながる話であることから、半導体部会においてモデルを扱うWGを設立しようという動きがでているほか、2018年4月には世界に向けてLPB-WGへの参加を呼びかけることを目指すキックオフミーティングを開催する予定だという。すでにSi2(Silicon Integration Initiative)との連携が動き出しているほか、IBIS Open Forumとも連携を進めており、4月のキックオフミーティングには、こうした他の団体からの参加も予定されているということだ。

このほか、設計環境の変化、例えば設計情報をクラウドで処理するということも徐々に始まってきているが、そうしたときのセキュリティの担保の手法や、手薄な開発の上流との連携に向けた上流-下流連携WGの設立に向けた協議なども進めていく方針だという。

同氏は、こうした取り組みについて、「日本のものづくりも変わらなければならない。JEITAという組織がやるのであれば、全体のアーキテクチャを作ってもらいたい、という話もあり、そうしたグランドデザインを考えていく必要があると思っている」という考えのもとの行動であり、どちらかといえば、ユーザーを巻き込む形で、どういったシステムを作りたいのか、という点を大切にし、精度の高いモデルの実現なども目指して、商社なども巻き込むなど、新たなアプローチも含め、幅広いユーザーへの普及を目指していきたいとしていた。