凸版印刷は14日、次世代二次電池「エクセルギー電池」による電力インフラの開発・製造を手がけるエクセルギー・パワー・システムズ(以下、エクセルギー)と、2月9日に資本業務提携を締結し約5億円を出資、エクセルギー電池事業の共同推進に合意したことを発表した。

  • 凸版印刷が独自開発した専用電極を用いたエクセルギー電池

    凸版印刷が独自開発した専用電極を用いたエクセルギー電池

エクセルギー電池とは、凸版印刷が独自開発した専用電極を用いて、エクセルギーが開発した次世代二次電池。従来、常用電源からの大電力供給が必要だった医療機器や、一般的な二次電池では実現が困難であった高出力の回生電力の充電を活用した重機などに利用できるという特長がある。

電池内部で発生した熱を急速に放熱し、上昇温度を5度以内に抑える独自の電池構造により、一般的な二次電池の100倍となる200C以上の連続的な急速充放電を可能にしている。

また、電池内部に水素を封入し酸化による電極の劣化を抑えたことで、耐久性が大幅に向上し、一般的な二次電池の10倍となるハイレート時連続50C充放電のサイクル寿命15万回以上を実現している。さらに、電池起電圧を充電電圧で設定出来るため、制御装置がない状態でも過充電することなくフローティング充電が可能で、バックアップなど無停電電源装置としても展開できる。

このほか、構成材料にリチウムや有機溶剤などを使用しておらず、二次電池の安全性試験のひとつである釘刺し試験(電池に釘を貫通させ、電池が発火、破裂しないことを確認する試験)の必要がない。また、クレーンなどは回生電力を有効活用することにより、消費電力を大幅に削減可能となっている。加えて、急速充電により充電待機時間が大幅に短縮され、電動フォークリフトなどの重機1台あたりの稼働率向上に貢献できる。

なお、エクセルギー電池向け電極は、凸版印刷の材料設計ノウハウとコーティング技術によって開発されている。具体的には、印刷技術を応用し電極材料である独自開発の導電性インキでニッケル系基材をコーティングしている。正極、負極、セパレータを積層することで電池セルを形成する。

今後、凸版印刷とエクセルギーはエクセルギー電池の開発を進め、2025年に約100億円の売上を目指すとしている。