2017~2018年のスキーシーズンは半ばを迎えたが、まだまだ十分に楽しめる季節だ。ただスキー人口は減少傾向にある。最盛期は1,800万人ほどといわれたスキー人口だが、レジャー白書によるとスキー、スノボを合わせても600万人以下だという。

まさに、ウィンタースポーツにとって“冬の時代”といえるが、ここ数年、にわかに注目され始めた楽しみ方がある。いわゆる「バックカントリースキー」と呼ばれるスキー・スノボの楽しみ方だ。

バックカントリースキーとは、スキー場のコース外で滑走する楽しみ方。アウトドアブームが再び高まっているが、より自然の中で滑りたいというファンが増えているのだろう。 だが、このバックカントリースキーには大きな問題がある。そう、コース外であるがため、遭難する危険性が高く、万が一の際に連絡手段がないということも十分に考えられる。また、圧雪されていない斜面では雪崩が起きやすい。特にこれから春先に向かって融雪が始まれば、さらに雪崩の危険性が高まる。

2018年大晦日から元旦にかけても、白馬乗鞍岳でバックカントリースキーを楽しんでいた男女3人が道に迷ったというニュースがあった。幸いこの3人は、けがもなく救助された。

IoTデバイスで遭難者の位置を把握

こうしたバックカントリースキーによる遭難対策として、博報堂アイ・スタジオが進めているのが「TREK TRACK」(トレック トラック)というサービスだ。これまで、バックカントリーで遭難した場合、外部との連絡は携帯電話とトランシーバーぐらいのものだった。ただ、携帯電話は山間部で電波が届かない可能性があるし、トランシーバーは安全なところにいる人とチャンネル合わせをしなくてはならない。

一方、トレック トラックは「通話」という手段ではない。IoT端末を所持しておき、その端末から発せられるデータが対象エリアのゲートウェイデバイスに送られ、その位置情報が伝えられる。

  • 左:トレック トラックのデバイス。右:半径10kmをカバーするゲートウェイデバイス

  • IoTに対応した弁当箱型デバイスもある。登山やハイキングに最適