JDAソフトウェア・ジャパンは8月30日、「2017年 インターネットショッピングに関する消費者意識調査」を実施し、その結果を発表した。この調査は、同社が日本の消費者のインターネットショッピングに関する現状を把握するために行っっているもの。

調査は2017年6月26日~28日、日本国内在住18歳以上の男女にインターネットによって行い、2,097人から有効回答を得た。なお、同様の調査は2016年12月29日~30日イギリス(UK)においても行われ、2,070人から有効回答を得ている。

それによると、過去1年間にインターネットショッピングにおいてトラブルを体験したことがあると回答した消費者は、日本が31%に対してイギリスは55%。主なトラブルとしては、「商品到着の遅れ」が48%でトップ。以下、「在宅していたにもかかわらず、不在票が入っていた」(28%)、「商品が破損していた」(23%)、「間違った商品が届いた」(16%)と続く。イギリスと比較すると、日本では注文した商品が届かなかったというトラブルが半数以下と少ないのが特徴。

過去1年間にインターネットショッピングにおいてトラブルを体験したことがあるか

過去1年間にインターネットショッピングにおいて体験したトラブル

また、これらトラブルを経験した人に次回は購入店舗を変えるか尋ねたところ、「次は絶対他店で買う」、「おそらく他店で買う」と回答したユーザーは、イギリスが合計78%と3/4を超える中、日本は56%にとどまっている。同社では、この理由には国民性があると分析している。

次回は購入店舗を変えるか

最近国内では、宅配業者の再配達負荷が大きい点が問題となり、駅、コンミニ、実店舗など、自宅以外の場所に消費者自身が受け取りにいく「クリック&コレクト」が注目されているが、「クリック&コレクト」の経験者は国内では18%と、イギリスの54%に比べ、普及率は低い。しかし、昨今の配達業者による配達時間帯や料金の見直しを受け、21.6%は「クリック&コレクトが増える」と回答。日本では、クリック&コレクトの今後の環境整備が期待される。

過去1年間にクリック&コレクトを利用したことがあるか

JDAソフトウェア・ジャパン 執行役員 アジアパシフィック ニシアコンサルティングサービスディレクター 勝川宏明氏

同社 執行役員 アジアパシフィック ニシアコンサルティングサービスディレクター 勝川宏明氏は、とくに自宅近くのコンビニで受け取りが増えていくだろうと予測した。

クリック&コレクトを利用するメリットしては、両国とも「配送手数料がかからないから」がトップで、日本の場合、「自宅配達よりも確実に受け取れるから」(38%)、「自宅配達よりも便利だから」(22%)と続く。

クリック&コレクトを利用した理由は

ただ、クリック&コレクトを利用した74%がトラブルを経験しており、主なトラブル(国内)としては、「商品を見つけられない、時間がかかった」(39%)、「専用受取スペースがない」(29%)、「店員がいなく長時間待たされた」(18%)などがあげられている。そのため、クリック&コレクトを普及させていくにあたっては、サービスレベルの向上につながるオペレーションを改善する体制を整える必要があるという。

過去1年間にクリック&コレクトで経験したトラブル(複数回答)

最近は、実店舗とオンライン販売のマルチチャネル化が進んでいるが、オンラインでも実店舗でも購入できる商品について、いまだ日本では7割の人が実店舗で購入すると回答。いずれのチャネルでも品揃えや値段が重視されているが、オンライン販売はよりその期待が大きい。一方、実店舗には顧客サービスや店舗のブランドが求められている。

実店舗とオンラインで購入の際に重視するもの(それぞれ上位3つを回答)

こいった消費者のニーズを受け、すでに多くの小売企業や物流企業において、オペレーションの効率化や人員の最適配置など、コスト効率を上げる対策への取り組みが始まっているが、同社では、デジタル化が加速し、オンラインショップやEコマースがさらに普及して顧客との接点が増えていく中で、競争力を高め顧客ロイヤリティを維持していくにはさらなる効率化と顧客サービスの向上が重要になると指摘。

そして、勝川氏は旧来の店舗を起点とした一方向のサプライチェーンではなく、オムニチャネルを支えるマルチな方向で捉えられるサプライチェーンの構築が必要になるとした。

旧来の店舗を起点とした一方向のサプライチェーン

オムニチャネルを支えるマルチな方向で捉えられるサプライチェーン