オールインワンの概念を変える一体型PC

日本HPは6月12日、2D/3Dスキャナを標準搭載した23.8型フルHD液晶一体型オールインワンPC「Sprout Pro by HP G2」(以下、Sprout)の発表会を開催した。この1台で3Dモデリングが驚くほど手軽に行える一方、直販価格で税別520,000円と、市場開拓のために開発した挑戦的な意味合いの強い製品になっている。

概要は別記事「画面をタッチマットに投影、指で触って編集できる一体型PC - 日本HP」を参照いただくとして、発表会と実機、デモンストレーションの様子を紹介しよう。

Sprout Pro by HP G2

Sproutはワールドワイドで展開するグローバルなモデルで、製品名の「Sprout(スプラウト)」は英語で「芽」や「芽生え」を意味する。同社の世界戦略の中で、新たな需要を掘り起こし、新しい価値を創造する芽となる位置付けの製品なのだ。

CPUやメモリ、SSDなどを内蔵する本体は、23.8型ワイドの10点マルチタッチ対応ディスプレイ(画面解像度はフルHD、最大1,670万色)となっており、いわゆるオールインワン型。日本HPでは、2D/3Dスキャナなどを搭載したSproutを「オールインワンの概念を変える製品」と考えており、「イマーシブ・コンピューター」と呼んでいる。

イマーシブ(immersive)は「没入型」と訳される。現実感の高い仮想空間を体験することで、あたかも実体験のように感じる、そんな経験がこの1台でできるPCというわけだ。

このイマーシブを支えるのは、画面の上部から庇(ひさし)のごとく飛び出す、2D/3Dスキャニングに対応する高解像度カメラ(ダウンカム)やセンサー、プロジェクター、そしてキーボードスペースに広がる静電容量タッチマットといった最新モジュール群。

画面上部からせり出す庇の裏には、2Dカメラと3Dカメラが1基ずつのほか、プロジェクターの反射鏡なども確認できる

タッチマットは20点マルチタッチに対応。3Dモデリングしたデータは、Windows標準の「ペイント 3D」で読み込んで表示できる

高解像度カメラは、最大14.6メガピクセル(4,416×3,312ピクセル)、最大7fpsのフレームレートで取り込みが可能。1,104×828ピクセルなら最大60fpsで取り込める。3Dキャプチャモジュールは、3D奥行き認識カメラ方式で、3D解像度1mm以下~10mm(対象物依存)、フォトリアリスティックテクスチャ200pplとなる。

プロジェクターはDLP方式で、解像度は1,920×1,280ピクセル(キーストーン補正)、画像解像度は73pplとなる。ディスプレイ上部には、最大2メガピクセルのHD Webカメラも備えている。

静電容量タッチマットは、ディスプレイ下部のコネクタに接続して利用する(つまり、外せる)。サイズが573×394mmとかなり広く、ここにプロジェクターで画面を投影することで、21.3型(3:2)の20点マルチタッチ対応スクリーンとして機能する。指またはデジタイザーペンによるタッチ操作に対応し、教育現場などで複数人が同時に指を伸ばすシチュエーションまで想定した仕様になっている。

台座のタッチマット接続コネクタ

タッチマット側の接続コネクタ