ユーザーと一緒に便利な使い方を見つけたい

日本HP 代表取締役社長の岡隆史氏は、市場における日本HPの立ち位置として、「ワールドワイドでシェア1位を2年以上キープできており、国内でも好調だ」と述べる。日本HPのビジネスは6割がPCで、4割がプリンタ(業務用の比率が高い)。どちらかが好調なときは、どちらかが不調ということが多く、両方ともプラス成長に転じたのは実に6年ぶりという。

日本HP 代表取締役社長
岡隆史氏

「市場も上向いてきている中、市場の成長率以上のペースで成長できている。2020年までは市場は安定して伸びていくと予測しているが、この状況に甘んじることなく、先を見据えた手を打っていく」と岡氏。

日本HPは、事業展開を「コア」「成長」「将来」の3つに分けて考えている。「コア」は、今日の収益を上げるための事業で、セキュリティとモビリティを中心とする堅調な事業だ。

「成長」は、現在伸びている成長分野を指す。具体的には、会議用PCや大判プリンタ、レーザーより速く印刷できるインクジェットの輪転機、あるいは独自のLatexインクなどの事業だ。そして「将来」は、投資、研究の対象となる2年以上先を見据えた分野であり、今回のSproutのような新しい市場を創造する事業。イマーシブのほかでは、3Dプリンティングに力を入れていくという。

日本HPの2017年の事業展開。コア、成長、将来の大きく3つに展開していく。Sproutは「将来」にカテゴリーされる

日本HPにとって、Sproutは投資、研究の対象であり、エンドユーザーにこのままの形で大量販売できるとはもとより考えていない。それでも、発売時にはキャンペーンを展開する予定もあり、年間300台程度は販売できるのではないかと見込む。

「ユーザーと一緒に便利な使い方、面白い使い方を世界中から見つけていきたい。展示会のデモでは、学校の先生などが高い興味を示す。そうした人たちに、どういう仕様であれば導入しやすいか、現場で活用できるかといった意見を求め、ハードウェアやソフトウェアのブラッシュアップはもちろん、こんな使い方ができるという事例を見つけてどんどん発信していきたい」(岡氏)。

あまりに手軽な3Dモデリングに目を奪われ、そればかりの用途に気が向いてしまいがちだが、視線が正面ではなく机上に向くタッチマットは2D作業にも適している。単純に2画面が使えるわけだし、文書の読み書きや校正、画面を共有しての打ち合わせといった用途にも十分に便利そうな印象を受けた。Sproutが芽から葉となり幹となり、立派な樹に育つ日が楽しみだ。