まとめと考察

KabyLakeの性能を一通り試してみた。肝心の性能だが、確かにCPU性能の上乗せは確実にある。これは間違いないことだが、その代償として消費電力が増えた。

14nm→14nm+のプロセスの更新によって、ある程度までの動作周波数までは、動作周波数-消費電力の関係に変化はないが、そこを超えると14nmは消費電力が急増、14nm+はそこでもまだゆるやかな上昇という変化が起こっている。グラフ71がこれを端的に示しており、境目は多分4.4GHzあたりである。

したがって、14nmプロセスのSkylakeでは、定格4GHz/Turbo時4.2GHzあたりで動作クロックを止めているのだが、14nm+プロセスを使ったKabyLakeは、定格4.2GHz/Turbo 4.5GHz程度に設定しても、何とかTDPの枠に収まるという話である。

要するに、Skylakeは91WのTDPの枠を使い切れていなかった(その手前でやめていた)のを、枠一杯まで使えるようにしたのがKabyLakeといえる。

その意味では「性能向上の代償として消費電力が増えた」というのも正確ではない。KabyLakeを4GHz以上で動作させた場合の消費電力は、Skylakeよりも確実に下がっているからだ。ただ実際に運用するとこれまでよりも消費電力が増えて見えることになる。

このあたりを許容できて、かつ高い性能を必要とするのであれば、Skylakeから買い替えを考えてもいいと思う。逆に許容できないのであれば、Skylakeのままでも問題はない。

ちなみに新規に購入するのであれば、値段も一緒であるしKabyLakeを選ぶ方がいいだろう。Skylakeを選ばないことで失われるものは何もないからだ。

微妙なのは、Z270のプラットフォームである。先ほどの中間考察でも述べたが、現状(マザーボード側なのかドライバなのかまでは切り分けはできないが)、特にSkylakeと組み合わせた場合で、プラットフォームに少し不安が残る。

しかし、これもKabyLakeと組み合わせて使う分には問題は無かったし、致命的な問題でもない(ファームウェアあるいはドライバの更新で対処できる範疇の問題に見える)ので、とりあえず使う分には支障はないだろう。

もし「とりあえずマザーボードを更新して、後追いでCPUを更新」なんて計画を立てているのであれば、ドライバ/ファームウェアのバージョンが上がるのを待ったほうが良い様に思う。

ということで、Intelの対Zen迎撃用の弾は無事にリリースされた。後はRYZENがどんな性能で出てきてどう戦うことになるのか。筆者の興味はここに尽きる。登場時期が楽しみである。