ターゲットは牛丼チェーンに行けない層も

今回の牛丼の発売で、同社は牛丼市場における既存の顧客の取り込みを図っている。しかし加えて、同社のさらなる狙いどころは潜在的なマーケットだ。

広報宣伝部の辻明宏東日本担当マネージャーは牛丼のターゲットを明確には設けていないとしつつも、「子供から高齢者まで食べられ、また女性の需要を喚起できたら」と話す。女性にとっては牛丼チェーンの店舗はハードルが高く、食べてみたくとも店に入るのが難しいということがある。しかし、回転寿司店の1メニューということであれば注文しやすい。女性以外にも男性客中心の牛丼店に入りづらいというファミリー、高齢者などといった層が少なくない状況を考えると、無添くら寿司における牛丼のニーズは実は高いのではなかろうか。

回転寿司チェーンが新商品として牛丼を出すとなると、つい既存のチェーンとの競合ばかりを考えてしまうところだ。しかし、逆に回転寿司店の強みである女性やファミリー、高齢者の需要を満たすことができれば牛丼市場全体の拡大につながっていく可能性も期待される。ただし、無添くら寿司の意外な新メニューはまだ提供が始まったばかり。はたして、こだわりの味付けは顧客の心をとらえることができるだろうか。

無添くら寿司におけるこれまでのサイドメニュー。今後はどのようなメニューを導入するのだろうか