ワイモバイルはソフトバンクが買収した通信会社をベースに生まれたブランドだが、月額2,980円の料金で、1GBの高速通信容量と10分間の通話し放題を利用できる安価な通信サービスと、大手キャリアが提供している安心感を武器としてユーザーを急拡大。中でもUQ mobileに先駆けて、今年3月にiPhone 5sを正規に取り扱いを開始したことは大きな話題となった。

ワイモバイルはUQ mobileに先駆けて、今年3月にiPhone 5sを投入したことから大きな注目を集めた

ワイモバイルはソフトバンクのサブブランドとして、ソフトバンク自身が直接運営することを強みとして低価格なサービスを実現している。またUQ mobileは、厳密にいえばサブブランドではないものの、最近ではauとの販売連携を強化するなど、KDDIの傘下企業であることを強みとして攻めの姿勢を強めている。

NTTドコモのサブブランドの可能性は?

このように、大手キャリアのうち2社がサブブランドや傘下企業を活用し、低価格を求めるユーザーの開拓を積極化している。だが最大手キャリアであるNTTドコモに関しては、自社もしくはグループ企業を活用し、低価格のサービスを提供するという動きは見られない。実際、NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏も、10月28日の決算説明会において、サブブランドに関する質問に関して「考えていない」と答えており、サブブランド展開を実施する考えがないことを明確にしている。

NTTグループとして見れば、現在NTTコミュニケーションズがNTTドコモのMVNOとなり、「OCNモバイル」としてサービスを提供してはいる。だが電気通信事業法でNTTドコモに課せられている禁止行為規制の影響などもあってか、他の2社のように密接な連携をしているわけではなく、両社はあくまで個別のサービスとして展開しているようだ。

MVNO最大手のNTTコミュニケーションズは、ゲオなどと協力して販売拡大を進めるなど、NTTドコモとは一線を画す取り組みを進めている

もっともワイモバイルのように、NTTドコモ自身が低価格のサブブランドを作って展開すること自体は、電気通信事業法上の規制に抵触するわけではない。それでもなお、NTTドコモはサブブランドを展開しない理由がどこにあるのかと考えると、MVNOの存在にあるといえそうだ。