NTTドコモがサブブランド展開しない理由はMVNOにあり

一般的に低価格なサービスを提供するMVNOが増えることは、大手キャリアにとってはユーザーがMVNOに流出することから、デメリットであると捉えられているが、実は必ずしもそうとは限らない。というのも、キャリアはMVNOに回線を貸し出す際、MVNO側から毎月「接続料」が支払われるので、MVNOが増えれば接続料収入が増え、メリットにもなってくるのだ。

また、キャリアから直接回線を借りてサービスを提供する「一次MVNO」の大半は、NTTドコモから回線を借りているので、MVNOの増加はNTTドコモにとっても売り上げを増やす要素になっているのである。

確かにキャリアからMVNOにユーザーが移れば、ユーザー1人あたりの売り上げは下がってしまう。だがそれでもNTTドコモの回線を用いたサービスにとどまっている限り、何らかの形で収入を得ることができることから、他キャリアの回線を用いたサービスにユーザーが流れ、ライバルの売り上げを増やすよりはメリットなのだ。しかも、大半のMVNOがNTTドコモの回線を利用している現状、仮にNTTドコモ自身がサブブランド展開を進めてしまった場合、MVNO側からの反発は免れないだろう。

そうしたことから、NTTドコモとしては自社で直接低価格のブランドを展開するよりも、多数存在するMVNOを拡大することで、ワイモバイルやUQ mobileに対抗して低価格を求めるユーザー層を獲得していきたい狙いがあるものと見られる。実際NTTドコモはいくつかのMVNOと、「dTV」「dマガジン」など、「dマーケット」のサービス販売で協力しており、MVNOを敵としてではなく、味方として活用しようという様子がうかがえる。

NTTドコモはインターネットイニシアティブ(IIJ)やビッグローブなどと、dマーケットのコンテンツ販売で連携も実施している