老若男女問わずスマホを1人一台持つのが当たり前になった。メール、ネット検索、SNS投稿、動画の視聴、スケジュール管理、そしてビジネス文章の作成まで一台でできる。そんな今日なのにテキスト入力に特化したポメラの人気は衰えず、販売台数は累計30万台を突破。ファンの心を惹きつけて離さないポメラの魅力とはなにか。

最上位機種と位置づける新製品

10月、文具メーカーのキングジムは、デジタルメモ「ポメラ」の次世代機を発表した。記者会見に臨んだキングジム常務取締役で開発本部長の亀田登信氏は「愛用している人の声を聞きながら今までよりも心地よく操作できるように進化。最強のテキストマシーンと言っても過言ではない」と自信を覗かせた。

デジタルメモ「ポメラ」DM200。10月21日発売

今回、最大の進化のポイントは、日本語入力だという。今までのポメラではスムーズに出来なかった変換にも対応すべく、日本語入力システムATOKを作っているジャストシステムの協力を得て、パソコン同等の変換が実現できる、ポメラに最適化されたATOKを搭載した。

また、無線LANに初めて対応したことも見逃せない。筆者は個人的に、これこそ多くの人が待ち望んでいたのはないかと思っている。これによりEvernoteとの連携、メールサーバーへのファイルアップロード、プリンターへの出力も可能となった。バッテリーの消耗を防ぐために、機能を使用する以外の時は、自動的に無線LANはオフになるという。

さらにバッテリーはリチウムイオンに変わり、約18時間の連続駆動が可能で、出張でも重宝されそうだ。スマホの充電のために持ち歩く人も多いモバイルバッテリーからの充電も可能になり、専用アダプタの持ち運びが不要になり、携行性も向上した。

ソフト、ハード両面で全面的に見直した中で、以前から「テキスト入力に集中できる」にこだわり、最も重視してきたキーボードは、入力時に左右にぶれたりしないようなより安定感のある構造に改良。液晶サイズは従来から40%大きくし、見やすくしたという。

買い替え需要を狙う

ポメラといえば、ビジネスマンの利用を見込んで設計されたものだが、特に文章を生業とする、ライター、作家といった人から厚い支持を受け続けている。さらには、軽量、コンパクトであることから、女性の利用者も多いことがわかっている。今回の新製品も同じ層がターゲットだ。さらには最も売れた初代発売から8年が経過していることから、買い替え需要も狙っているという。だからこその全面見直しで、前回の製品から5年の歳月を経て、ユーザーの声を整理し、形にしたものなのだ。

テキスト入力に集中できる快適さとは

新機能を追加しながらも、ポメラはテキスト入力に集中できる端末だと同社はいう。そもそもテキスト入力だけならば、多機能で安い別の製品もある。それにも関わらず、テキスト入力しかできないポメラは初代が約3万円、最新のものだと約5万円、決して安いとはいえないのではないか。ポメラのどこに魅力があるのか。実際に使ってみた使用感から探ってみたい。