ツイッターは140文字の短文投稿サイトだ。文字数制限は他国の言語よりも日本語との相性が良く、その結果SNSとしての人気も日本では高い。そのため、伸び悩んでいると言われても、ユーザーからすれば、肌感覚と一致しないかもしれない。

しかし本国である米国を見て見ると、フェイスブック、その傘下のインスタグラム、そして後発ながら若者の心を掴むスナップチャットのいずれにも、月間ユーザー数や広告からの収益で後れをとる結果となっている。

そんな中、9月下旬、ツイッター買収に関する様々な憶測が流れた。ウォール街ではしばしば、主要な投資家が株を売却したり、より良い買収条件を創り出したい際、こうした噂によって株価を上向きのトレンドに変えようとする思惑が見られる。

買収提案に関する報道が流れてから、ツイッターの株価は短期的に19%上昇した。なお、10月1日現在の株価は、24ドル前後で、上昇を続けている。今回、より具体的な(そして十分買収に耐えうる)企業名が上がってきた点で、注目を集めている。

ツイッターの現状

ツイッターは上場企業であることから、買収が発表され、規制当局のチェックを通過する必要があるとはいえ、基本的にはどの企業に対しても、可能性に関してはオープンだ。そんなツイッターの現状を見ていこう。

ツイッターは10月27日に第3四半期決算を発表する予定だ。直近の発表済みの2016年第2四半期決算では、広告やデータライセンス等の収益が前年同期比で20%あまり上昇し、6億200万ドルに増加した。これにより赤字幅は1億700万ドルと、前年同期から3000万ドル圧縮している。

ツイッターの第2四半期は前年同期比で赤字幅を圧縮したものの赤字続きの現状にある(出典:2016 Second Quarter Slide Presentationより)

ソーシャルメディアのサービスは広告主体のビジネスモデルを敷いており、ツイッターもその例外ではない。そこで重要になる指標が、月間ユーザー数だ。ツイッターの月間アクティブユーザー数は、3億1300万人で、前期から1%、前年同期から3%の上昇となり、ユーザー数増加の弱さから脱していない。なお、モバイルからのアクセスは82%にのぼる。

アクティブユーザー数は増加し続けている(出典:2016 Second Quarter Slide Presentationより)

ツイッターは、2016年にサービスの改善を行なっている。まず、140文字制限についての緩和だ。これまで、写真やリンクの短縮URLも文字数にカウントされてきたが、これをカウントしなくなっている。また本文の投稿に絵文字(ステッカー)を強化し、動きのあるものや、企業のハッシュタグに付加される広告商品としても展開を始めた。

また買収済みのライブ動画共有アプリPeriscopeや、ツイッターアプリ内でのライブビデオ配信など、即時性のある情報との組み合わせを強化した。6月のウインブルドンテニスの生中継を皮切りに、NFLやNBA、メジャーリーグ、ブルームバーグなど、ニュースやスポーツチャンネルとの提携によって、「生中継を見ながらツイート」の環境を整えた。