ゼネラルモーターズ・ジャパンが12月8日に開いた会見で、同社が日本市場に投入する「キャデラック」と「シボレー」の2016年モデル全車種にAppleのCarPlayを標準搭載すると表明して話題になった。「そういえばCarPlayってどうなったのだろう?」と思い出した方もいるかもしれないが、CarPlayの現状を追いつつ、日本市場での展開を含む今後について考察してみる。

Appleの車載インフォテインメントシステム「CarPlay」は日本に根付くか

コンセプトの発表は2012年

CarPlayのコンセプトが最初に発表されたのは、2012年6月に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された開発者向けカンファレンス「WWDC 2012」の基調講演だ。当初の名称は「Eyes Free」で、自動車のハンドルに搭載された専用ボタンやSiriを使って、車載エンタテインメントシステムに接続されたiPhoneを「ハンズフリー」の状態で操作できるようにする仕組みとして提案された(この専用呼び出しボタンの件はAppleが独自に公表したもので、後に自動車メーカーらと一悶着あったという話もある)。

当時、米国では携帯の操作に起因する事故の増加で、自動車運転中での携帯操作を禁止する州が増加するなど、全土で規制を進める気運が高まっていたタイミングだ。さらに、2012年秋にリリースされた「iOS 6」では、それまで地図サービスの提供をGoogleに頼っていたAppleが、初めて自社開発の地図サービスを組み込んだタイミングでもある。GoogleがiOS向けに提供していたGoogle Mapsでは、当時Android版で提供されていたナビゲーション機能がなく、Appleがサービスとアプリを独自開発することでiOS 6の目玉機能としようとしていた背景がある。多くが知るように、iOS 6の時点でのApple Mapsの評価はさんざんなものだったが、後に少しずつ改良が進んで現在に至っている。

この2012年のWWDCのタイミングではGMを含む9社のパートナーの名称が発表されたが、結局同年中に提供されたのは、ホンダなどが一部機種に用意した同機能対応のオプションにとどまっていた。

翌2013年6月の「WWDC 2013」ではその名称を「iOS in the Car」と変更し、パートナーも12社がリストアップされていた。このタイミングでGMの名称は消えているが、代わりに傘下の「Chevrolet(シボレー)」が加わっている。まだこの時点では「iOS in the Car」の正式なリリースタイミングについての言及はなかったが、同年秋にリリース予定の「iOS 7」の目玉機能の1つとされていた。