NTT実証実験① -かざして案内-

NTTのデモンストレーションは、案内板にスマートフォンやタブレットのレンズ部分をかざす(向ける)ことで、さまざまな情報が得られる「かざして案内」。案内板の内容を母国語に翻訳して表示するほか、現在位置の提示や目的地までのナビゲーション、交通機関の運賃・時刻表を提示するなど、おもに外国人観光客に向けた機能となっている。

担当者によると、外国人観光客が空港に到着後に困ることとして「次にどこへ行けばいいのか、どの交通機関を使えばいいのか」という心配事が最も多いようだ。日本人が海外の空港に到着したときも同様だろう。

看板にタブレット端末のカメラ部分をかざすと、インフォメーションの看板が読み込まれ、画面が交通案内などに切り替わった。これはカメラに映った物体を分析する「アングフリー物体検索技術」。

事前に画像を撮影して登録しておけば、その後はどんな角度からでも、また一部が隠れていてもかざすだけで物体を認識できる。実際にデモンストレーションでは斜めからタブレット端末をかざし、問題なく認識された。またHTML5ベースのため、アプリをインストールすることなくWebブラウザだけで動作する。

今後、お店の写真やサンプル食品をかざすと、画像を認識して料理内容を表示する予定。宗教上食べられないものがある場合も考慮するようだ。

インフォメーションの看板にカメラをかざし、スタートボタンを押すと読み込みが始まる

乗り換え案内をはじめとしたページが表示される

バスの看板にも対応

NTT実証実験② -インテリジェント音サイン-

続いて、視覚障がいのある人向けの「音サイン」をより分かりやすくする「インテリジェント音サイン」と呼ばれる技術の実験。「聞こえやすい音声案内」「分かりやすい音声案内」「いろいろな所で音声」という3つの特徴を挙げている。

インテリジェント音サインには、合成音声の明瞭化技術が使われている。周囲がうるさく聞き取りにくい環境でも全体のボリュームを変えることなく、音サインがはっきり聞こえるのが特徴だ。目を閉じてよく耳をすませてみると、通常の音声ガイダンスとは違いがあるのが分かった。

また、空港内に設置されたビーコンにウェアラブル端末やスマートフォンを持ち歩くと、反応して自動で音声が聞こえてくる仕組みも公開された。例えば、各国の言語に合わせた「こちらは男子トイレです」と端末から案内が聞こえてくるシステムとなっている。

全体のボリュームは変えず一部の周波数だけをコントロール

腕時計型をはじめ、ウェアラブル端末にも対応する予定とのこと

ビーコンは、Bluetoothを使用している

NTT実証実験③ -プロジェクションサイン-

空港では混雑の発生頻度が上がり、問題となっている。それを解決する技術が「プロジェクションサイン」と呼ばれるもの。これは「プロジェクション・マッピング」を用いた案内サインで、人の流れる傾向に応じて案内の内容や場所を動的に変更する。

また緊急避難を視覚化。災害時のアナウンスなど、聴覚に障がいのある人への情報提供メディアとして機能する。人の流れをビッグデータで解析し、刻々と変化する混雑状況を先読みして緩和するのが狙いだ。チェックインカウンターの付近に映像が投射されているため、すぐに目につき分かりやすい印象を持った。

壁にプロジェクションマッピングによる情報を表示する

中央口が混雑することを視覚的に表している。実験段階では日本語と英語のみ

カウンターの上に2台のプロジェクターを設置