7月30日、東京ビッグサイトでヘルスケアやフィットネス分野の専門家やビジネスパーソンを対象としたイベントが開催された。

テクノロジーの進化により、健康産業はこれからますます、スマートフォンとの連携により新たな可能性を生み始めている。これからの健康産業はどのように変わっていくのか、またどのようなビジネスが生まれていくのか、「スマホが変える健康産業-モバイルヘルスイノベーションの実現」と題したディスカッションが繰り広げられた。モデレーターに一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授 藤川佳則氏、パネリストとして、元LINE代表取締役社長で、現在はC Channel代表取締役社長 森川亮氏、Campus for H 予防医学研究者・医学博士 石川善樹氏、FiNC 代表取締役CEO 溝口勇児氏が登壇した。今回は、このディスカッションの模様をお届けする。

左から、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授 藤川佳則氏、Campus for H 予防医学研究者・医学博士 石川善樹氏、
C Channel代表取締役社長 森川亮氏、FiNC 代表取締役CEO 溝口勇児氏

地球規模、数十年・数百年規模で起きていること

一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授 藤川佳則氏

藤川氏:今回は、地球規模、数十年・数百年規模で起きていることと、その中で日本・東京発のモバイルヘルスイノベーションの可能性について一緒に考えたいと思っています。

「地球規模」「数十年・数百年規模」で起きていることとして、3つのキーワードが挙げられます。1つめは"SHIFT"、2つめは"MELT"、3つめは"TILT"です。

経済の成熟度が高まるとサービス産業の比率が高くなります。農業経済が工業経済化し、しだいにサービス産業が増えていきます。これは、一国の例外もなく、どこの国もたどっている変化となっています。

この流れは、数年の話ではなく、数十年単位、世界規模で起きている"SHIFT"です。

ヤップマインダーによる世界経済のサービス化の推移。横軸が一人あたりの国民所得、縦軸が第三次産業の割合。左が1965年、右が2010年

また、現在のビジネスでは、業界の垣根がなくなってきています。例えばAppleって何業でしょうか? 製造業という位置づけにはなっていますが、店舗の運営など、広くビジネス展開しています。

富士通やIBMなどのIT企業でもそうですが、これまではハードウェア、ソフトウェア、サービスという順番で売上のシェアがありましたが、最近ではサービス、ソフトウェエア、ハードウェアという順番になっており、もはや何業なのかがわからなくなっています。モノづくりの会社がサービスを重視し始めているのです。

逆に、今までモノを持たなかった企業もモノを持ち始め、そのモノを起点にしたサービス展開を始めています。例えば、GoogleのGoogle Glassやスマートコンタクトレンズが挙げられます。このように、さまざまな企業で"MELT"が起こっています。

昨年、経営アドバイザーとして活躍するラム・チャラン氏が執筆した「Global Tilt」とい書籍が出版されました。この書籍では、「もはやお金の動きも人の動きもビジネスの動きも、北緯31度よりも下側で発生している」という内容が書かれています。

また、2022年には世界の中間層の人数が貧困層を越し、2030年には世界人口の3分の2にあたる50億人が中間層になると予測しています。そしてまさに今年、アジアの中間層がアメリカとヨーロッパの中間層を足した人数を超えるということが起きています。

このような状況の中、北緯31度以上の人たちが、北緯31度以上の場所で、北緯31度以上の人を想定して考えていることに、果たして意味はあるのでしょうか? この"北緯31度以上"に日本は当てはまります。北緯31度というと、日本では鹿児島の佐多岬のあたりになります。中国だと、上海の上あたりが北緯31度となります。

これらをふまえた上で、日本初・東京初でモバイルヘルスイノベーションを起こす意味を3人に聞いてみたいと思います。