日本・東京が先駆け、世界をリードできること

藤川氏:まず1つめの質問が、日本で、東京で、先駆けてリードできるモバイルヘルスとはどのあたりにあるのでしょうか?

Campus for H 予防医学研究者・医学博士 石川善樹氏

石川氏:日本の喫緊の課題は高齢化ですが、これは必ずしも世界全体の課題ではありません。今、ヘルスケアにおいて何が一番問題かというと都市部に住むオフィスワーカーの健康です。一日中オフィスでパソコンの画面を見ている、こういう人たちの健康をどう支えていくかを考えなければいけません。

日本のビジネスパーソンは疲れていて、1970年代ぐらいまでは長時間労働をしても元気でした。ところが、バブルの崩壊から全てが変わり、自殺者が増え、日本人男性の寿命が初めて下がりました。

健康状態が悪いということは改善しやすいということです。これだけ都市環境がそろっている日本で働くビジネスパーソンの健康をどうやってサポートするか、これを支えるイノベーティブなプラットフォームは世界中でウケると思います。

森川氏:日本人はソーシャルメディアが好きな人が多いです。ブログに関しても、世界で日本人が一番ブログを書いていると言われています。また、Twitterも、3分の1は日本人によるつぶやきだったとも言われています。おそらく、日本人はモバイルインターネットが伸びてから、インターネットと生活が密接に絡んでいて、ノウハウや考えを発信して、評価されたい人が多いのだと思います。

ヘルスケアの分野は、何が正しいのかがわかりにくい。動画は、動画でないとわからないことを伝えることができます。この動画によって、ノウハウを世界中に発信し、言葉がわからなくてもヘルスケアの知識が広まっていく、また同時に世界中から情報が集まってきて、本当に正しい知識が動画で蓄積されていくことが期待できます。

溝口氏:私は以前、業績の悪い会社に勤めていました。24歳の時にトップになりましたが、年上ばかりの環境の中で、けっこう厳しい経営判断をやってきました。何が言いたいかというと、結果うまくいきました、が、これはめちゃくちゃ危機にさらされていからこそ、まわりも言うことを聞かざるおえなかったということだと思います。

日本は医療費の高騰、少子高齢化、労働人口の減少など、明治維新の黒船来航の時のように、変わらざるおえない状況になっています。逆を返すと、そんな状況だからこそ、東京はチャレンジしやすい状況になっていると思います。