9月9日のイベントでは新型iPhoneに加えて「iWatch」と呼ばれるAppleの腕時計型ウェアラブルデバイスも発表されるとみられている発売日そのものはだいぶ先になるといわれているiWatchだが、筆者はこの「iWatch」が今後のAppleの業績を大きく左右する鍵を握っていると予想する。

7月22日に公開されたAppleの腕時計型デバイス特許の資料にある「iTime」の文字(出典: USPTO)

Reutersがイベントに著名なファッション関係のメディア関係者やBloggerを招待していると報じているが、これはiWatchの販売ターゲットを広げることが目的ではないかと考えられる。

実際、先進国でのシェアは日本を除いて微減傾向にあり、販売台数こそ伸ばしているものの、おそらくはiPhoneでこれ以上大きなシェアを獲得するのは難しい。新興国では販売価格の高さがネックであり、日本はすでにシェアで半数を超えているという話もあり、すでに行き渡るところには行き渡り、頭打ちが近付いていると考えられる。ならば新しいデバイスで新市場開拓に向かうというシナリオが自然な流れだ。

これまでスマートウォッチがブレイクしなかった理由として、「スマートウォッチをスマートウォッチとして売ろうとした」ことが最大の原因だと筆者は考える。ならば「ファッションアイテムとして使えるスマートウォッチ」ならば、新しい層を開拓できる可能性はないだろうか。

スマートウォッチを売るのではなく、「(名称不明の)Appleの腕時計型デバイス」を売るのだ。一部ユーザーに好まれるような製品から、一般の多くのユーザーが「身に付けてみたい」と思うような製品でなければ新規市場は望めない。以前に「Andorid Wearには期待できず、Appleの"iWatch"に期待する理由」というコラムを書かせていただいたが、まさにiWatchに期待されるのはこの部分だと考える。