Appleが30億ドルでBeatsを買収したが、このBeatsはプレミアムヘッドフォンで一大市場を築いたことで知られる。「音質は特別高くないものの、市販の安価なイヤフォンよりは高品質で、なによりファッションアイテムとして"b"のロゴがあしらわれたヘッドフォンを求め、若者がこぞって製品を買いたがる」という、これまで出来そうでなかなか出来なかったブランドを構築している。価格設定も200~300ドル程度と「気軽には買えないが、ちょっと手を伸ばせば手が届く」という微妙なラインに位置しており、これがブランドとして購買意欲をそそる妙薬の1つにもなっていると考える。

Beats買収発表後にBeatsもホームページ上にメッセージを掲載

iWatchはまさに、このBeatsのポジションを狙うのが製品として最も成功するのではないかと筆者は予測する。機能的には既存のスマートウォッチと大きく変わらないが、Appleのエコシステムの中で機能が安定してシンプルに使えるようになっていて、なによりデザイン面で特徴的な外観を持つ。

価格も筆者の予想レベルだが、300~400ドルあたりがターゲットだと考えている。400ドルが価格ターゲットとするRe/codeの記事もあるが、「300ドルを切ると安すぎ、500ドルに達するとiPadと比べて割高感がある」という微妙なラインだ。iWatchに関しては「タグホイヤー」などの関係者の話が出てくるが、実際にはこれら高級時計のラインではなく、むしろ大衆時計にプレミアを載せた価格設定というが前述Beatsの市場を作るコツだろう。イベントでのiWatchの見所は、この層を刺激できるかにかかっている。

9月9日のイベントを前に、Appleの株価目標を120ドルであったり123ドルであったりと煽るアナリストが多いが(実際にはイベント開催前日の9月8日終了時点で98.35ドル)、おそらくは株価の行方を握るのはiPhoneよりも、このiWatchにあるのではないかというのが筆者の考えだ。