LINEのようなチャットツールが大流行し、携帯メールの時代は終わりつつある。しかし、LINEをそのままビジネスで利用する際には課題もある。では、どういった課題があり、どういったツールが求められているのか紹介しよう。

スマホ時代のコミュニケーション基盤となったチャットツール

LINEのようなチャットツールをビジネスの現場で利用するケースが増えている。数年前までは携帯メールが最も手軽なコミュニケーションツールだったが、スマートフォンの普及とともに、リアルタイム性が高く、入力文字数も減らせるチャットツールが世間に浸透しはじめた。

その代表格であるLINEは、ご存知のとおり、今や若い世代のコミュニケーション手段の中心であり、仕事の打ち合わせや簡単な業務連絡でも当たり前のように使われている。特にほぼリアルタイムに意思疎通ができるという点は、ビジネスにおいて重宝されているようだ。

IT部門からすると、こうしたコンシューマー向けツールの業務利用は、情報漏洩のリスクが高いため、極力避けたいところだろう。トップダウンで禁止する企業も少なくないが、それでもユーザーがこっそりと使い続けるケースは多いようである。LINEのようなチャットツールは、そのくらい便利なものなのだ。

営業情報をLINEのグループチャットで共有!

筆者が知る若手営業担当者も、LINEを業務で利用するビジネスマンの一人である。

その会社では、さまざまな営業情報をLINEのグループチャット機能を使って共有している。外出することの多い営業社員同士がコミュニケーションをとるうえでは、LINEが手っ取り早いのだという。

最も多いのは受注確定の連絡だ。「A社から△商品を○万円で受注しました」といった投稿が頻繁にあり、部門全体の売上額や売れ筋、在庫状況が大まかに伝わるようになっている。

この運用には、リアルタイムに情報共有できるという非常に大きなメリットがある。営業担当者全員が同じグループチャットにいるため、わざわざオフィスに戻らなくても状況を把握できる。

ただし、その営業担当者によると、LINEでは「これはちょっとまずい」と困ることもいくつかあるという。以下、その担当者から聞いた課題を整理してみよう。

業務とプライベートが交ざり、セキュリティリスクが増加

営業担当者が、繰り返し言っていたのが、業務とプライベートの連絡が交ざって落ち着かないという点だ。

「休日に友人からのメッセージに混じって業務連絡も届いていて慌てた」、「常に仕事の連絡が来るので、精神的ストレスがたまる」、「プライベート用のツールに会社の機密情報が届くので誤送信が怖い」――そんな不満を際限なく挙げていた。いずれも業務とプライベートの連絡で同じツールを使っているが故の問題である。

そのほかにも、LINEには「誤送信を取り消せない」、「重要な情報がタイムラインで流れてしまうため、振り返りづらい」という側面があり、業務連絡ツールとして使うには機能不足の感が強いという。

ビジネス向けチャットツールの定番「ChatWork」と「co-meeting」

こうした問題を解消するツールとして注目されているのが、ビジネスチャットツールである。

代表的なものとしては、「ChatWork」や「co-meeting」といったものが挙げられる。

ChatWorkは、メールコミュニケーションやファイル管理を置き換える目的で開発されたチャットをベースとするWebサービスだ。チャット上でタスクの振り分けやファイルの保存などができるというコンセプトがウケ、いまでは世界160カ国で3万8000社が利用する定番のビジネスチャットツールになりつつある。

ChatWorkの画面

一方、co-meetingは、テキストベースのコラボレーションツールだ。ぱっと思いついたアイデアや今やっていること、見聞きしたことなどを、チャットでディスカッションするように共有することができる。ファイルの共有やテーマごとの課題管理も可能だ。2011年に設立されたベンチャーにより提供されているが、着々とユーザー数を増やしている。

co-meetingの画面

両ツールともコンセプトは違えど、基本機能は同じである。LINEなどのコンシューマー向けチャットツールと一線を画す、ビジネス向けの機能をひととおり揃えている。