では、どういった機能が搭載されているか、ChatWorkを例に紹介しよう。

投稿の削除が可能

まずは、営業担当者も挙げていた「投稿の削除」だ。

誤送信した場合は、該当メッセージにカーソルを合わせて、表示されるメニューの中から「削除」を選べばその場で削除できる。もちろん、相手の画面からもメッセージが消える。

また、そもそも社外にファイルを送れないように管理者側で制限することもできる。これにより、うっかりミスが原因の情報漏洩を防ぐことができる。

情報管理が簡単

営業担当者の間では、提案書や事例、報告書などのファイルを送り合うこともあるようだが、LINEではそうしたファイルが会話によって埋もれてしまう。これは、単純なチャット(おしゃべり)ツールとして開発されたLINEでは想定外の利用法であるため、仕方のないことだろう。

対して、ビジネスチャットツールでは、設計の段階でさまざまなビジネスシーンを想定している。当然、資料の送受信も想定しており、それらが埋もれてしまわないように配慮されている。

例えば、ChatWorkでは、共有したファイルはいちいちスクロールしなくても、「ファイル」タブをクリックすればすぐに発見できる。同一チャット内のファイルならば、1クリックで目的のものに辿り着ける。

ChatWorkでは、「ファイル」をクリックすると、投稿したドキュメントがすぐに見つかる

加えて、ファイルがテキストや画像であれば、わざわざダウンロードしなくても内容を確認することができる。さらに、ファイルからアップロードされたときのチャットに飛ぶこともできるので、ファイルが送られる前後にどんな話し合いがあったのかも簡単に確かめられる。

タスク管理ができる

例えば、「A社の担当者に○日までに連絡を入れる」など、チャットをしていて作業が発生した際には、その投稿をそのままタスクとして組み込むことができる。ToDoやメモのようなものから、特定の業務の承認や実行など、使い方はさまざまだ。期限も設けられるので、スケジュール管理のように使うこともできる。

商品発注を「タスク」として依頼した画面

退職者に過去のやりとりも見せない

もう1つ、ビジネスチャットツールで便利なのが、アカウントの管理が行える点だ。

例えば、情報共有していた営業社員が退社したとしよう。LINEでやりとりしていた場合、過去に投稿した情報が退職者のアカウントに残ったままになり、機密情報も引き続きいつでも見られる状況に置かれてしまう。

対して、ビジネスチャットツールでは、退職者のアカウントを削除すればログインできなくなる。過去に投稿した顧客情報も含めて業務関連の一切の情報が閲覧不可能になる。

営業部署では、社員の退職とともに担当顧客も連れて行かれてしまうケースが多い。顧客の詳細な情報がいつでも見られる状況にあれば、その可能性はさらに高くなるだろう。また、セキュリティという観点で見ても、退職者に情報を渡してしまうのは好ましくない。自社の情報であればまだしも、顧客の情報を管理下にない人間に渡してしまっては、情報漏えいリスクが高まるうえ、有事の際の対応も難しい。

そうした問題を解消できるのは、管理者にとって何よりもうれしいことだろう。

スペースの都合上ここでは紹介を割愛するが、ChatWorkやco-meetingには、情報漏洩対策やアカウント管理、ログ管理といった管理機能も備える。また、スマートフォン向けのUIも工夫されているので、LINEに慣れたユーザーでも違和感なく利用できる。

ChatWorkのスマートフォン画面

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LINEは便利なツールであり、使い方次第ではビジネスの生産性向上にもつなげることができる。だが、実際にビジネスで利用するとさまざまな課題に直面するのも確かだ。そうした課題を解消するべく開発されたのがビジネスチャットツールなのである。

ビジネスはビジネスチャットツール、プライベートはプライベートチャットツールといったように使い分けることで、オンとオフの気持ちを切り替えることにもつながる。両サービスとも無料で使える「フリープラン」が用意されているので、気になった方は試すとよいだろう。