手動操縦部門の決勝の結果
そして決勝は2日目の午後から行われ、まず手動部門からスタート。予選の得点の低い順から飛行し、以下の通りとなった。5位までが表彰された。
手動操縦部門
- 優勝(日本航空宇宙学会賞):サモリョーチカ(東大 工学部航空宇宙工学科) 2190点(動画1)
- 準優勝(OBK賞):イーグル7(金沢工大 夢考房 小型無人飛行機プロジェクト) 2125点(動画2)
- 3位(国立科学博物館賞):Kite-50th(神奈川工大 航空研究部) 1965点(画像21・動画3)
- 4位(新鋭の匠賞):Tokai3.0(東海大 工学部航空宇宙学科 航空宇宙学専攻) 1700点(動画4)
- 5位(折り紙ヒコーキ協会・キャステム賞):Fantasista_SSP(東海大 工学部航空宇宙学科 航空宙学専攻) 1600点(動画5)
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予選では6位に甘んじていたサモリョーチカが100点満点でいえば81点という高得点の2190点を叩き出して、逆転優勝を飾った(画像22)。東京大学工学部航空宇宙工学科(東大は複数の学科がチームを出しているが、第1回から連続して出ているのは同科だけ)は2006年の第1回大会から参加している古豪で、その第1回大会で優勝している。
サモリョーチカの機体コンセプトは、低速(目標速度は秒速3.5m)、高い制御性、安定性、ロバスト性の4つ。そして、バルサ材、プラスティック・フィルム、紙、カーボンパイプなどを使って作られている。デザインはコンピュータを用いて行われた。サモリョーチカの開発において、3回の設計変更が行われ、その3機目をさらに改良したバージョン3.1とか3.5といった改良型3rdサモリョーチカで優勝を果たしたというわけだ。
そして2位のイーグル7は、金沢工業大学所属の各種ロボコンに参加している夢考房の中の小型無人飛行機プロジェクトで開発された(画像23)。夢工房 小型無人飛行機プロジェクトとしては2009年の第5回のみ参加していないが(その年は金沢工大 工学部 航空システム工学科が参加している)、第1回から参加している古豪で、2010年の第6回から、毎回2機ずつ「イーグル」の名を冠した機体を製作してその名を引き継いでいる。今年は手動部門にイーグル7、自動部門にイーグル8という形で参加した(ほかに、同大学は工学部 航空システム工学科 岡本研究室が「Maybe2(メイビーツー)」で自動部門に参加)。
イーグル7の機体コンセプトは、「耐久性とフライトにおける高角度」ということだ。翼が水平に出ているのではなく、斜め上方に伸びている形だ。これにより低速とお手玉の投下などのパフォーマンスで正確性を確保できるというわけである。また、翼の形状の空力特性もCFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)を行って確かめられてもいる。
ちなみに飛行ロボコンで優秀な成績を収めるには、低速で飛べること、つまりは滑空性能が重要だ。というのも、手放し飛行の3秒間や、無動力飛行の10秒間は、速度があるとミッションエリア外に出てしまう危険性が高いため、ゆっくり飛ぶ方が有利なのである。もちろん物資の投下でも低速飛行の方が正確に落としやすい。ただしあまり遅すぎても、ミッションをこなせない内に3分が経ってしまうのでバランスは重要だが、総じて成績上位の機体はゆっくり飛べるものが多かった。
なお、3位のKite-50thはトラブルがあったようで、決勝で予選以上には得点を伸ばせず、3位に後退している。