今年は62チームがエントリーし、予選には55チームが参加

基本的に飛行機タイプは、バルサ材、カーボン、プラスティック・フィルム、紙などの軽量素材を使って組み立てられており、そこに昇降舵や方向舵などの機体制御系と、プロペラとそれを回すモータ、そして後述するがメインミッションである「物資輸送」で物資に見立てたお手玉と、それを投下するための装置などが取り付けられている。お手玉の投下は、もちろん遠隔操縦で行う仕組みだ。飛行船タイプはバルーン下部に推進装置や制御装置、物資輸送および投下のための装置などがプラットフォームに取り付けられている感じだ。

また動力にはモータが使用されており、プロペラが大多数を占めるが、羽ばたきやダクテッドファンなども認められている。また、飛行船タイプはもちろんヘリウムを使って浮遊する形で、推進力はプロペラが用いられていた。バッテリはリチウムポリマーもしくはニッカドが使用できる。

コンテストの意義としては、物資輸送というミッションがメインにあることからわかるように、災害対応も重視したものとなっており、また当然ながら、ものづくりや将来のエンジニアの育成も視野に入れた内容となっている。機体の開発の様子は専用のブログを用いて随時審査員がチェックできる仕組みで(競技は大会当日ではなくそれ以前から始まっているというわけだ)、会場には自分たちの機体を解説するポスターを貼り(しかも英語)、また初日の予選終了後にはプレゼンテーションタイムとして審査員や観客、他チームの選手、プレスに向けた質疑応答を自分たちのブースで行う仕組みとなっていた(プレゼンテーションの優秀なチームにも賞が与えられる)。

そして参加チーム数は62チームがエントリーし、55チーム(手動34、自動21)が予選で実際に飛行した(棄権や練習中の大破などで7チームが予選に臨めなかった)。規模としては大きめ、活況を呈しているロボコンといえよう。手動、自動の部門ごとに予選が行われ、決勝への進出条件は上位何チームではなく、きちんとエリア内に着陸まで成功させた(帰還を果たした)チームの内、手動は1000点を超えたチーム、自動は2000点を超えたチームが通過する形だ。今回は、最終的に手動は8チーム、自動は7チームが決勝に進む形となった。

競技の内容は飛行ロボットを遠隔操縦で飛行させて、25m×30mの広さのミッションエリア上空(画像9・10)でメインミッション+追加ミッションをこなし、ポイントを獲得していくというもの。メインミッションでどの目標に何回投下するのかということと、追加ミッションの内容、順番などは選択式で、また競技開始前にあらかじめ審判に宣言しておく必要がある(それと同時に、実際に各ミッションを行う前に、声に出して宣言する必要がある)。

画像9(左):ハンガー内の全景ミッションエリアは左側の太い白線と、ハンガー中央よりスライドドア寄りの細い線(太陽光を反射している)まで。 画像10(右):飛行競技エリアの見取り図

離陸から着陸までは最大4分という制限時間が設けられており(正確には3分を過ぎると減点となり、4分以内に着陸しないと未帰還扱いとなる)、帰還してはじめて得点計算がなされる。予選を突破するには帰還は絶対条件で、どれだけそれまでのミッションでの得点が高くても、決勝へは進出できない。あとは、前述したように一定の点数以上に達していないと、決勝には進出できないというわけだ。

またエリア構成に関しては、ミッションエリアに隣接する形で10m×30mの操縦エリアがある。操縦者は、そのエリア内ならどこに立ってもいいし、競技中に位置を変更するのは自由だが、そこから出ずに目視による遠隔操縦を行う(自動制御の一部のミッションは別)。そして操縦エリアのミッションエリアと接する反対側には離発着エリア(10m×10m)がある(滑走路もあって、そのサイズは0.9m×5m)(画像11)。離着陸は同エリア内で行う必要があり、詳しくは後述するが滑走路内で両方を決めるとより点数を獲得できるというルールだ。

画像11。離発着エリアと滑走路。滑走路上への着陸は至難