UQコミニュケーションズは30日、高速通信サービス「WiMAX 2+」を10月31日から開始すると発表した。TD-LTE互換のWiMAX 2+規格を採用し、帯域幅が拡大されたことで、下り最大110Mbpsの通信速度を実現。まずは東京都心の混雑エリアからスタートし、14年度末までに人口カバー率70%を目指していく。

「WiMAX 2+」のサービスロゴ

第1弾端末としてモバイルルーターを提供

2年間使い放題の高速通信サービス

WiMAX 2+は、LTE規格の1つであるTD-LTE互換の通信方式を採用した通信サービス。国内ではソフトバンク子会社のWireless City PlanningがTD-LTE互換のAXGPサービスを展開しており、海外では中国などでTD-LTEサービスがスタートしている。従来のWiMAXとは技術的な互換性はないが、同社ではWiMAXとWiMAX 2+の双方をサポートすることで、WiMAXでエリアを、WiMAX 2+で速度をカバーしていく方針だ。

WiMAX 2+を発表する同社の野坂章雄社長

従来のWiMAXは下り最大40Mbpsで、サービス開始当初は国内最速だったが、3Gの高速化規格やLTEの登場で規格上の通信速度では後塵を拝していた。だが今年7月に、国から新たな周波数帯域として20MHz幅の割り当てを受け、これを使った下り110Mbpsサービスを提供するかたちだ。2014年半ばには下り最大220Mbpsまで増速化して、「業界最速に返り咲きたい」(野坂章雄社長)としている。

混雑エリアの高速化・容量拡大のためにWiMAX 2+を導入する

既存の30MHz幅と連続した帯域で20MHz幅が割り当てられ、合計50MHz幅でサービスを展開する

UQのWiMAXサービスは、携帯各社が月間7GBなどといった容量制限を設けている中、容量無制限で使い放題という点を重要な存在価値としてアピールしてきたが、東京・新宿や秋葉原といった混雑エリアでは速度低下が起きており、容量拡大の必要があった。

WiMAX 2+の特徴

システム構成。無線機はサムスン製。写真のアンテナは墨田区に設置された第1号のアンテナだそうだ

これまで、基地局がカバーするエリアを小さくする小セル化や利用効率の高い技術の導入で対処してきたが、今回の周波数割り当てで容量が拡大。さらにTD-LTE技術の導入で、利用者の多いエリアでも快適な高速通信を実現していきたい考え。新規割り当ての周波数帯を使うため、当初は既存のWiMAXユーザーへの影響はなく、混雑エリアでWiMAX 2+ユーザーが増えることで、野坂社長は既存WiMAXの混雑が減ることも期待する。

容量が逼迫するエリアにWiMAX 2+を重ねて設置し、容量拡大と混雑緩和を狙う

容量拡大は、道路の拡張に例えられる

混雑エリアにWiMAX 2+を重ねることで混雑が解消される見込み

エリア構築は、当初東京都環状7号線圏内から構築を始め、2013年度末までに東京都・神奈川県・千葉県の一部、愛知県の一部、大阪府・京都府・兵庫県の一部で提供して、基地局数7,000局・人口カバー率は44%を目指す。