NECアクセステクニカの「AtermWM3800R」は、カードサイズのコンパクトなモバイルWiMAXルータだ。前モデル「AtermWM3600R」が人気機種だっただけに、今回の新モデルに注目している人も多いだろう。前回はコンパクトな本体デザインやスマートフォンとの連携機能などについて述べた。レビュー後編では、AtermWM3800Rのバッテリ駆動時間や通信スピードの検証結果を紹介していこう。

モバイルWiMAXルータの本命か - NECアクセステクニカ「AtermWM3800R」(前編)

NECアクセステクニカのモバイルWiMAXルータ「AtermWM3800R」。用意されているカラーバリエーションはピンク、ホワイト、ブラックの3色(写真はホワイト)

■主な仕様 [WiMAXインタフェース] IEEE802.16e-2005 [無線LAN] IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯) [USBインタフェース] micro AB-type×1 [駆動時間] 連続通信時:最大約8時間、連続待受時:最大約20時間、連続待機時:最大約250時間 [セキュリティ] マルチSSID、MACアドレスフィルタリング、WEP(128/64bit)、WPA-PSK(TKIP/AES)、WPA2-PSK(TKIP/AES)など [本体サイズ] 約W89.6×D352×H12.8mm(突起部除く) [重量] 約80g [店頭予想価格] 18,000円前後

連続通信は最大約8時間だが、それ以上のバッテリ駆動を記録

バッテリ駆動時間の長さは、モバイルルータにおいてチェックするべき重要ポイントの1つだ。AtermWM3800Rのバッテリ駆動時間(公称値)は、連続通信が最大約8時間、連続待受が最大約20時間、休止状態での待機が最大約250時間とされている。最大約10時間の連続通信が可能な前モデル「AtermWM3600R」から2時間短くなっているが、十分実用的に使えるバッテリ性能と言えるだろう。

カタログ上の数値は実際の運用結果と異なることも多いので、実際にバッテリがどれほど持つのか試してみた。テストの概要は以下の通りだ。

・AtermWM3800Rをハードウェアリセット(工場出荷時へ戻す)
・ノートPCとAtermWM3800RをWi-Fi接続
・ノートPCでバッテリベンチマーク「BBench」を実行
 (60秒ごとのWebアクセス、10秒ごとのキー入力)
・フル充電したAtermWM3800Rのバッテリが切れるまで駆動

BBenchは基本的にノートPCのバッテリ駆動時間を計測するベンチマーク。今回はノートPCをACアダプタで駆動し、定型の動作を続けることで、AtermWM3800Rのバッテリ駆動時間を計測するために利用した

結果、8時間29分でバッテリ切れとなった。カタログ値の最大約8時間に比べて、29分も増えていた。バッテリの劣化がほとんどない新品という点や、通信量が小さかったこともあるだろう。インターネット動画の再生やWebブラウザゲームなどを連続して行うと、結果は変わってくるかもしれない。バッテリ駆動する機器の全般に言えることだが、使用状況によってバッテリ駆動時間は変わる。

比較的に実用的な検証状況において、これだけバッテリが長持ちするのであれば、日常利用にはまったく問題ないだろう。AtermWM3600Rに比べてカタログ上のバッテリ駆動時間が短くなったとはいえ、そこそこヘビーな運用でも心配なさそうだ。

Web設定ツールの「ECO設定」を利用することで、AtermWM3800Rのバッテリ消費を抑えられる

より長くバッテリを持たせたい場合は、Web設定ツールの「ECO設定」を利用しよう。本体の有機ELディスプレイの「自動消灯時間」や「省電力状態切替設定時間」を短くすることで、さらに長時間のバッテリ駆動が見込める。

また、「省電力状態切替機能」を「休止状態」にしておくと、通信していない時間(設定した時間)が経過すると自動的に休止状態へ移行する。前編でも述べたように、AtermWM3800Rは休止状態からの復帰が約6秒と速いのがポイントだ(WiMAX通信とWi-Fi通信を再開)。休止状態の移行と復帰が頻繁に発生しても、復帰時に待たされる感覚はない。これらの設定をうまく利用すれば、より効率的に運用できるはずだ。

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