フルWindowsゆえに「過去の経験」が活かせる楽ちん端末

では、パフォーマンスはどのくらいなのか。ベンチマークで調べていこう。まずWindowsエクスペリエンスインデックス値だが、これは3.3となった。プロセッサは3.4、メモリは4.6、グラフィックスは3.7、ゲーム用グラフィックスが3.3、プライマリハードディスクが5.6といった具合だ。正直高くはないし、ゲーム用としては検討できない数値だ。ただし、Atomという位置づけからは妥当なところだろう。

Atomとしては妥当なスコアだろうか。もちろん、初代Atomから比べれば向上しているが、大規模データや写真・映像を扱うような用途向きではない。タブレット相応の、表示・閲覧端末という位置づけでは十分といったところだろうか

続いてFuturemark系のベンチマークを調べると、PCMark 7のスコアは1340 PCMarks、3DMarkはIce Stormで2431だった。なお、PowerVR SGX 545自体はDirectX 10.1対応とされているが、Cloud Gateは動かず、3DMark VantageもDirectX 10に対応していないという警告が表示され、実行できなかった。DirectX 9相当として考えるのが妥当だ。

PCMark 7は1340 PCMarks。CPU、グラフィックともそこまで高性能ではないため、制作業務はメインとなるPCで行い、ThinkPad Tablet 2は閲覧端末として利用するのが正しいと考えられる

3DMarkはIce Stormのみ計測できたが、2431というスコアだ

3DMark Vantageは「GPUがDirectX 10をサポートしていない」として実行できなかった

そのほか、CINEBENCH R11.5のMulti CPUが0.34、Single CPUが0.17、ストリートファイターIVベンチマークが1280×720ドットで4.52FPSだった。例えばCPUで見ると、Core i7-3770KなどはSingle CPUで1.7ポイント近く、Multi CPUなら8ポイント近くの値が出る。これと比べるとやはりAtomなりの処理能力と言える。ただし、ウェブブラウジングやテキストエディティング用途においては実用的に動く。

久しぶりに1pts以下というスコアを見ることになったCINEBENCH R11.5

CrystalDiskMark 3.0.2によるストレージのベンチマークでは、シーケンシャルリードが80.32MB/sec、同ライトが33.23MB/sec、512Kはシーケンシャルに近い値が出、4Kリードは8.652MB/sec、同ライトは2.013MB/sec、4K QD32リードは10.16MB/sec、同ライトは2.122MB/secとなった。デスクトップ向けSSDと比べれば数分の一、ちょっと速いSDXCカードといったあたりだろうか。

ストレージ性能はそこまで高速ではないものの、HDDと比べるとランダムアクセス性能は高めな印象。ただしCPU性能が低いことが影響してか、画像ファイルの表示などでも若干のラグを感じる

バッテリー駆動時間は、液晶輝度50%程度の状態でBBench V1.01を用い、キー入力とウェブブラウジングをオンとした状態で8時間経過後に8%まで減少し、8時間15分後、5%まで減少した時点でスリープモードに移行した。なお、輝度50%でも十分すぎるほど実用的な状態であり、ノートPCのような駆動時間の不満は感じない。第3世代iPadはもう少し長いわけだが、Android/iOSタブレットに肩を並べるといったところだろうか。実際にモバイルしてみても、バッテリー持続性に不満は感じられなかった。再度重量に関する印象となるが、約600gのボディは、普段中型モバイルノートPCを持ち歩く身からすると、持ち歩いていることを感じさせないくらいだ。充電ももはやどこに行くにも携帯必須と言えるMicro USBケーブルでできるため、気にならないだろう。

ThinkPad Tablet 2は、用途としてはデータの「閲覧」をメインにせざるを得ない点を理解すれば、プライベートでも、ビジネスでも、いざという時にあると便利なx86 Windows端末である。そしてWindows PCをお使いの方であれば、過去のWindowsの「経験」が活かせるため、これから「何かをしよう」という時にもそこまで困らない。社内・家庭内のネットワークに接続するにも、そこからデータを閲覧するにも、Windowsであることがメリットと感じられる。

いちおう今回レビューをして感じた希望を述べておくと、やはり無線LAN以外の通信手段も欲しいという点で、3GやWiMAX対応が欲しい。また、これはタブレットというWindowsとしては比較的新しい活用スタイルという点で、防水機能もあると便利だろうと想像する。例えば喫茶店での打ち合わせ時、平置きした際、万が一コーヒーをこぼしてしまうと、ノートPCのようなゴム足が無いぶんダメージが大きのではないかと感じた。

ほか、高解像度化やアスペクトの見直しも課題だろう。高解像度化はスペック的なもので、フルHD対応が進むAndroidタブレットや、Retina化が進むiOSタブレットと比べて見劣りする面は否めない。そしてアスペクトは「閲覧」にフォーカスした際の検討項目だ。映像を見るぶんには16:9アスペクトのワイド液晶がベストだが、FAXなど紙ベースの文書のスキャンデータやPDF文書などを閲覧する場合、4:3アスペクトの方が適しているように感じた。