レノボ・ジャパンは16日、報道関係者向けの技術説明会を開催。2012年10月26日に発表した、Windows 8を搭載した10.1型タブレットPC「ThinkPad Tablet 2」について、製品コンセプトや採用された技術の紹介を行った。
ThinkPad Tablet 2の製品戦略
まずはじめに、レノボ・ジャパン Think Client Brand Managerの土居憲太郎氏が、「ThinkPad Tablet 2」の日本国内における販売戦略について説明した。
レノボ・ジャパン Think Client Brand Managerの土居憲太郎氏 |
「ThinkPad Tablet 2」は、10.1型IPS液晶を搭載したタブレットで、重量が約570g(ペン付属で約590g)とWindowsタブレットとして最軽量のモデルだという。
前モデルの「ThinkPad Tablet」は、CPUにTegra 2(1GHz)を搭載したAndroid端末だったが、「ThinkPad Tablet 2」ではCPUに「Clover Trail」世代のIntel Atom Z2760(1.8GHz)を搭載したWindowsタブレットとプラットホームを変更している。
「法人向けタブレットの現状は、機能よりもコストを重視した低価格帯の製品が求められている。ThinkPadブランドに求められる品質を維持しつつ、低価格は難しい」と土居氏は、その背景を開かす。
また、タブレット端末は、機能を限定した使用用途で利用されており、運用もPCとは別の方法で行う、ある意味で割り切った使い方によるセキュリティに対するリスクがあったという。土居氏は「『ThinkPad Tablet 2』では、OSにWindows 8を搭載し、通常のPCと同様の運用ができる点が強み」とWindowsを搭載することによるメリットを強調する。
ファイアウォールやVPNをはじめとして、データの暗号化や(Trusted Platform Module)、リモートワイプといった、PCでも利用可能なエンタープライズ向けのセキュリティソリューションがそのまま利用でき、企業の情報システム担当者もPCと同じ考え方で端末の管理が行える。
「ThinkPad Tablet 2」の対象マーケットは、手袋やグローブなど素手での操作が難しい操作医療・建設現場や、デジタルサイネージ、コンビニ・ファミレス・ファーストフードなどの店舗、教育現場としている。
「タブレットがノートPCを置き換えるとは思っていない」と土居氏。その上で「生産性を向上させるには、クラムシェル型のノートPCが必要になると考えている。タブレットは現在PC使用していない場所、あるいは簡易的にしか利用していない場所で、うまく統合していくデバイス」とした。
薄型・軽量化への取り組み
続いて、レノボ・ジャパン 製品開発統括担当/ノートブック製品 木下秀徳氏が実際の製品開発に当たって採用された技術の詳細について解説を行った。「ThinkPad Tablet 2」は、前モデルと比較して32%の薄型化と23%の軽量化を実現している。
「『ThinkPad Tablet 2』は、ThinkPadとして期待される堅牢性を維持しながら、軽量化へ振った製品となっている。昔からThinkPadで行ってきた手法の1つだが、マグネシウム合金製のインナーフレームを入れて筐体の強度を上げて薄型化を図っている」と木下氏。
また、カバーガラスに旭硝子製の高強度ガラス「Dragontrail」を採用することでも堅牢性を確保。従来モデルと同様に、大和研究所で行われた堅牢性テストをクリアしている。
このほか、「ThinkPad Tablet」では、カバーガラスとLCDの間に空気層を設けて接合していたが、「ThinkPad Tablet 2」では、カバーガラスの下に直接LCDを接合して薄型化している。接合方式の変更は、ユーザビリティの向上といった観点からもメリットがあり、ペン入力をする際の入力視差やペン入力音、反射光が低減したという。
駆動時間が大幅に向上
「ThinkPad Tablet 2」は、バッテリ駆動時間が最大16.4時間、ストリーミングでのビデオ再生も10時間、スタンバイ状態では25日(600時間)と、従来モデルから駆動時間が大幅に改善している。タブレットやWindows 8に最適化された消費電力ソフトウェアと測定ツールを用いて、消費電力が下がらない部分を改善するなどして、駆動時間の向上を図った。
また、Windows 8で搭載された「Connected Standby」も、長時間駆動の実現に寄与している。「Connected Standby」は、新たに追加されたスタンバイ状態。ディスプレイはオフだが、プロセッサなどは駆動し、カーネルが動作した状態で消費電力の低減を図るというもの。このときに30秒に1回システムが立ち上がり、ネットワーク接続を維持するが、この際に消費される電力を下げる、あるいはベースの消費電力を下げることでバッテリ消費を抑えている。
周辺機器も改善
「ThinkPad Tablet 2」には、周辺機器でも改善が行われており、スタンド付きのBluetoothキーボードでは、新たにホットキー機能のサポートが行われたほか、3ボタンを採用し、センターボタンでスクロールができるようになった。トラックポイントは、引き続き光学式のトラックポイントとなっている。
木下氏は「光学式のトラックポイントにはさまざまなご意見があると思うが、従来のトラックポイントを搭載するには、センサや基板である程度厚さが必要になってしまう」と説明する。
付属のペンも「ThinkPad Tablet」では電池内蔵のアクティブペンを採用して大きめのサイズとなっていた。「ThinkPad Tablet 2」ではワコムのデジタイザーを採用することで、小型・軽量化を実現した。ユーザビリティと携帯性のほか、検出精度が向上。通常の静電方式のペンでは検出に20mm×20mmサイズのスペースが必要だが、デジタイザペンでは5mm×5mmのスペースで文字を検出する。
このほか、ユーザビリティの向上として、タッチパネルのレスポンスや音質、GPSアンテナの精度が向上しているという。
「ThinkPad Tablet 2」は現在、量産直前の状態だという。すでに法人向けには販売を開始しているが、個人ユーザー向けには年内の販売を予定している。