日本アイ・ビー・エム 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 川原均氏

日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業部は6月24日、プレス向けに説明会を開催し、同事業部が注力している分野について説明を行った。今回紹介された事業は、「情報分析」「BPM」「インダストリーソリューションズ」の3つだ。

初めに、専務執行役員 ソフトウェア事業担当の川原均氏が、2011年の同事業部について説明を行った。同氏は、IBMリサーチが開発した質問応答システム「Watson」が今年2月に、米国のクイズ番組「Jeopardy!」でチャンピオンに挑戦し、2ゲームを通じて最高金額を獲得したことを例に出し、「Watsonはクイズの質問を理解・分析して予見して答えていたが、これは正にBPMの技術」と述べた。

同氏によると、チャンピオンの1人は「Watsonの回答するスピードがずっと一定であったことに驚いた」と語っていたという。

ソフトウェア事業部は現在、「情報から洞察を獲得する」「ビジネスの俊敏性を向上させる」「運用効率性を向上する」「ソフトウェア開発で業務サービスと製品を変革する」「コラボレーションにより社員の力を強化する」「リスクやセキュリティを管理する」という6つの課題に対し、ソリューションを提供することを目指している。

今回は、これらの課題を解決する事業が紹介された。

情報から洞察を獲得する「情報分析プラットフォーム」

日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 理事 インフォメーション・マネジメント事業部長 俵雄一氏

「情報から洞察を獲得する」ソリューションとしては、「膨大なデータから新たなビジネス価値を創出する情報分析プラットフォーム」が用意されている。同社の情報分析プラットフォームは「information Management」製品によって、管理・統合・分析・ガバナンス・セキュリティといった分野をエンド・ツー・エンドで支える。

ソフトウェア事業 理事 インフォメーション・マネジメント事業部長の俵雄一氏は同社が積極的に取り組んでいる「Big Data」について、「われわれはVolume(量)だけでなく、Variety(多様性)とVelocity(頻度)についても取り組んでいく。この3つの要素に対するソリューションを提供しているのはIBMだけ」と説明した。

さらに、SPSS、Cognos、ネティーザなどのM&Aにより情報系の準備が整備されてきたとして、今後は、アナリティクス主導のイノベーションとインフラ主導のイノベーションに対応していくという。

ビジネスの俊敏性を向上させる「BPM製品」

日本アイ・ビー・エム 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長 伊藤久美氏

続いて、「ビジネスの俊敏性を向上させる」ソリューションとして、BPMソフトウェアが紹介された。アプリケーション基盤を中心に、BPMソフトウェアを担っているのがWebSphere製品だ。

理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の伊藤久美氏は、「日本企業がビジネスプロセスの変革を重視している割には動きが鈍い」と指摘。その理由としては、「現状では困っていない」「ツール導入の敷居が高い」「オフィスソフトでの管理で十分」「効果(ROI)が見えにくい」といったことがある。

そこで、同社は「BPMの効果をわかりやすく短期に実現する」ことを最大の目標としている。「IBMは反復開発を用いることで、3ヵ月以内にBPMソフトウェアの導入を終わらせることができる。日本ではウォーターフォール型の開発が多いが、それでは手戻りが発生してしまう」と、同氏は同社のBPMソフトウェアの特徴をアピールした。

また同氏は、BPMソフトウェアにおいて、「コストとスピードだけでなく、顧客価値の創造がどれくらいできるかどうかを測ることが重要」と訴えた。

業種特化型のソリューションを提供する「インダストリーソリューションズ」

日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業 インダストリーソリューションズ事業部 事業部長 田崎慎氏.

BPMソフトウェアと組み合わせて使うことで、「ビジネスの俊敏性を向上させる」のが、インダストリーソリューションだ。ソフトウェア事業 インダストリーソリューションズ事業部 事業部長 田崎慎氏は、「顧客が現在、業種特化型のソリューションを求めていることを受けて、インダストリー ソリューションズ事業部が設立された」と説明した。

業種特化型のソリューションを提供するための仕組みにおいて中核を成すのは、「Industry Framework」だ。Industry Frameworkは同社が5~6年かけて作り上げてきたフレームワークで、業種固有の業務課題に対し、IBM製品を組み込んだものだ。

インダストリー ソリューションズを構成する「クロスインダストリーソリューションズ」に、今月発表された「スマーター・コマース」が位置付けられる。スマーター・コマースは、「マーケティング」「販売」「サービス」「購買」という商取引の領域に対して、「顧客視点の変化対応力」「クロスチャネルの統合」「デジタルとリアルの融合」を提供していく。

同社はグローバルで、1,000名規模の専門家を育成しており、国内でも組織横断的な専任チームを立ち上げ、事業を推進していく。